2021.05.20 1日350円で乗り放題!「台東・墨田東京下町周遊きっぷ」で行く下町散策(上野編その2)

下町で使える1日あたり350円のフリーパス「台東・墨田東京下町周遊きっぷ」。今回は、上野の繁華街にあたる上野広小路・御徒町周辺を中心にご紹介します。繁華街の方も江戸時代からメインストリートとして栄えた上野広小路や、戦後の闇市を発祥とするアメ横など、単なる商店街にとどまらない複雑な魅力を持っています。各時代ごとに様々な意味づけがされていった下町の魅力を、写真付きでお送りします!
江戸のメインストリートから戦後の闇市へ。商店街、貴金属取引、コリアンタウンなどの側面を持つ上野の繁華街

上野恩賜公園から坂を降りて、上野広小路へとやってきました。目の前の中央通りは、御徒町・秋葉原・神田・日本橋・銀座・新橋と繁華街が連なっている、日本の商業の中心と言えるエリアです。ちょうど真下を銀座線が通っているので、行き来にはJR山手線の他、地下鉄も便利です。

明治通りを直進すると、左手に松坂屋上野店があります。オープンはなんと1768年。江戸時代後期の地図にはすでに名所として掲載されていたという、250年以上の歴史を持つ店舗です。地下1階は銀座線上野広小路駅と直結しているという点にも、その影響力の大きさが見て取れますね。ちなみに南館は2017年にリニューアルされ、25階建てのビルとなりました。今はPARCOが入っています。写真の交差点を左に曲がって、JR御徒町駅方面へ。

上野最大の繁華街、アメヤ横丁、通称アメ横へとやってきました。JR上野駅とJR御徒町駅の間に位置する、戦後の闇市が発祥の商店街です。通りだけでなくガード下まで多数の商店があり、食材や衣服・装飾品・カバンなどの品揃えは他の追随を許しません。

また、普通の物販以外にもケバブやハットグなどのファーストフードをよく見かけます。日本というより東アジアの商店街を思わせる、アメ横の雰囲気作りに一役買っている面もありますね。

そして、アメ横でもひときわアジア感のあるお店が集まるのが、「アメ横センタービル」。ここの地下市場は、もはや日本ではありません。撮影NGのため中の様子をお伝えできないのが非常に残念ですが、ご興味のある方は一度訪れてみることをオススメします。

この辺でアメ横を少し離れて周辺の様子もご紹介しましょう。まずはアメ横からJRの線路を挟んで反対側にある、宝飾品・貴金属店街。縦の通りには「ルビーストリート」「サファイアストリート」といった名前が付けられています。ちなみに上野の宝飾品の歴史は闇市よりも古く、江戸時代には前身となる装飾品の職人街があったようです。

宝飾品街からもう少し東に行くと昭和通りと首都高速1号があり、通りの東側に都内屈指のディスカウントストア「多慶屋」があります。アメ横と同じく、基本的にいつ行っても混雑しているお店ですが、最近は余裕を持って買い物ができる程度に落ち着いています。やはり医薬品などの爆買いの恩恵は大きかったようです。


ちなみに、多慶屋から通り一本挟んだ北側にはキムチ横丁があり、ちょっとしたコリアンタウンになっています。新大久保と比べると規模ははるかに小さいのですが、現存する都内最古のコリアンタウン(1948年成立)だそうです。

続いては、上野広小路から西に向かって湯島方面へ。銀座線の上野広小路駅と千代田線の湯島駅は乗り換えこそ対応していませんが徒歩数分の距離なため、意外と千代田線も便利だったりします。

そして、湯島駅の西側には梅の名所として有名な湯島天満宮(通称:湯島天神)が。毎年2月〜3月には梅まつりも開催されます。
※2021年はコロナのため中止になりました。

境内がそこまで広くないため城南宮の神苑のようなボリュームはありませんが、丁寧に手入れされた梅をささやかに楽しむなら、オススメの場所です。

ちなみに湯島天神の歴史は推定1500年以上と言われており、現在の上野が影も形も無かった時代からここに鎮座しているという、上野を見守る存在でもありました。寛永寺と同じく、江戸時代は将軍家の崇敬が篤かったと言われています。

古代から戦後に至るまで、様々な歴史がレイヤーのように積み重なって生まれた、上野の町。散策しながら各時代の足跡を探してみると、結構楽しいかもしれないですね。
セールスポイントはラインナップと価格。新規出店も盛んな上野のグルメ

さて、ここまで一通り上野の紹介をしてきたところで、グルメについても少し触れたいと思います。上野のグルメは、なんと言っても多国籍のラインナップと価格帯の自由度が特徴です。今回オススメするのもインド料理。上野駅から東に数分の立地にある「ハリマ・ケバブ・ビリヤニ」にお邪魔しました。以前紹介した銀座にある「カーン・ケバブ・ビリヤニ」の系列店でもあります。オープンは2014年と最近ながらも食べログでは高評価という、新進気鋭のカレー屋です。

今回頼んだのは、3種類のカレーランチ。税込969円でナン・ライスおかわり自由という、お財布に優しい価格が素敵な一品です。



カレーは6種類のうち3種類を選ぶシステムで、何度も楽しめます。今回はチキンカレー、野菜カレー、ニリギリキーマをチョイス。

カレーとは別にサラダとスープもついてきます。注文する前に出てきたので、全メニュー共通かもしれません。

サラダの方は様々な食材が組み合わさった、厚労省の「1日30品目」のお役に立ちそうな一皿。

スープはお店のスタッフ曰く「南インドのスープ」とのこと。見た目はラッサムっぽいですが具が多め。「スパイスをたくさん使っているので、体が温まりますよ」だそうです。


ナンとライスは注文時にどちらかを頼みますが、おかわりは両方とも可能です。最初はナンで頼んで、後からライスをおかわりすることもできます。

最近マイブームの、おかわりライスに残りのカレールーをのせた、セルフあいがけカレー。始まりはナンでも、締めくくりはライスの方が落ち着くんですよね、なぜか。

最後はセットについてくるアイスチャイで〆。ラッシーやコーヒーなども頼めます。

この辺で次のお店へ。ごちそうさまでした〜。

続いて訪れたのは、上野広小路にある「ABAB UENO」。ファッション中心と思いきや地下に赤札堂が入っていたり7階は100円ショップだったりと、地域密着型の品揃えが特徴です。

2階には「小麦っ子」というパン屋も入っており、ちょっとした軽食にオススメです。

最大の特徴は、何と言っても値段。曜日にもよりますが、1個税抜100円で惣菜パン・菓子パンなどを販売しています。


店内にはイートインスペースや電子レンジもあり、町歩きのちょっとした休息によさそうですね。飲み物やスープも別売りでラインナップされています。もちろん電気ポットも完備。

200〜300円くらいでお昼を済ませたい時に重宝する「小麦っ子」。立地と値段が使いやすい、隠れた良スポットです。

さらにもう1件お得なスポットを紹介しておきましょう。不忍池の近くにある「ドンレミーアウトレット上野不忍店」。北千住にも同じお店がある、激安スイーツの人気店です。

ドンレミー自体はスーパーなどでも時々見かけますが、アウトレットでは平均して定価の3割引き程度で手にいれることができます。お店にないオリジナル商品も好評で、写真左端のプリンは何と税込50円。その他、余ったスポンジケーキの生地なども安く販売していますので、自宅のお菓子作りの素材としても有用です。

最後は上野を代表する和菓子屋へ。1913年創業の老舗「うさぎや」をご紹介します。店名の由来は、創業者が卯年の生まれだったからだそうで、昭和に入ってから売り始めたどら焼きが評判を呼び、お店の看板商品となりました。

さっそくどら焼き(税込230円)を試食。16時までは焼き立てを提供しているそうで、持ってみるとほんのり暖かいです。味の方は、スーパーなどの店売り品にありがちな生地のパサパサ感が一切なく、もっちりという言葉がしっくりくる食感。「その場でひとつ、これが最高です。」という商品紹介に偽りのない逸品といえるでしょう。

その他、お店から徒歩数分の場所に「うさぎやCAFE」という系列店があります。こちらは2015年オープンと新しく、老舗の枠に囚われない、新しいコンセプトの和カフェとなっています。本家とはラインナップも異なりますので、気になる方はこちらもどうぞ。

江戸時代から現在に至るまで変化を続ける東北の玄関口・上野。インバウンド需要もあって、ここ10年の活況は目を見張るものがあります。普段馴染みの場所でも、久しぶりに歩いてみると新しい発見があるかもしれないですね。
全16回にわたってお送りした「台東・墨田下町周遊きっぷ」による下町散策も、これにて終了となります。東京の下町は、江戸時代から人々の暮らしが根付いている地域も多く、少し歩くだけでも各所に歴史の堆積を感じることができます。2010年台からは、海外からの観光という形で新たな歴史が刻まれようとしている今、切符片手に下町の魅力を探しに出てみてはいかがでしょうか。
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