2020.08.08 乗り換え時間60分化で東京メトロがさらに便利に! 122円でできるお手軽東京一周散歩
2020年6月6日、東京メトロ日比谷線に新たな駅「虎ノ門ヒルズ駅」が開業しました。現在も開発が進んでいる都心の新スポット「虎ノ門ヒルズ」と直結する駅としてのオープンですが、同日に東京メトロの乗り換えのルールが変更されたのを、ご存知でしょうか?
これまで東京メトロの改札外乗り換えは30分という制限があったのですが、距離の離れた乗り換え駅が増えてきたことから、時間制限が60分に変更となりました。利便性という点では、新駅よりこちらの方が実は重要だったりします。
というのも、東京メトロは最近になって乗り換え対象駅を増やす傾向があり、元々乗り換えできなかった駅が新線開通や制度変更により乗り換えできるようになった、という例が多いのです。後付けで乗り換えできるようにするために、改札外乗り換え制度があるわけですね。
そこで今回は、実際の乗り換え例として、乗り換え60分化を活かした東京一周に挑戦しました。122円でできる、お手軽東京一日散歩をレポートします!
60分以内なら外に出てもOK? 東京メトロの「改札外乗り換え」とは
レポートの前に、東京メトロの「改札外乗り換え」制度についてご紹介します。
元々原則として、改札を出たら切符は回収されるのですが、後から新線を建設して行った都合上、改札内で別の路線に乗り換えるのが難しくなってきました。そこで例外として作られたのが「改札外乗り換え」制度となります。また、銀座駅-銀座一丁目駅など、近くにあるのに乗り換え対象でない駅を、乗り換え駅とする変更が最近進められています。
よって、改札外乗り換えが可能なのは一部の駅となります。具体的には以下の駅で可能です。
渋谷駅(銀座線、副都心線)
新宿三丁目駅(丸ノ内線、副都心線)
池袋駅(丸ノ内線、副都心線、有楽町線)
淡路町駅(丸ノ内線)ー新御茶ノ水駅(千代田線)
大手町駅(丸ノ内線、東西線、千代田線、半蔵門線)
日比谷駅(日比谷線、千代田線)ー有楽町駅(有楽町線)
上野駅(銀座線、日比谷線)
上野広小路駅(銀座線)ー仲御徒町駅(日比谷線)
三越前駅(銀座線、半蔵門線)
飯田橋駅(東西線ー有楽町線、南北線)
◆2018年3月17日から追加
人形町駅(日比谷線)ー水天宮前駅(半蔵門線)
築地駅(日比谷線)ー新富町駅(有楽町線)
◆2020年6月6日から追加
銀座駅(銀座線、丸ノ内線、日比谷線)ー銀座一丁目駅(有楽町線)
虎ノ門駅(銀座線)ー虎ノ門ヒルズ駅(日比谷線)
改札外乗り換えはあくまで例外として認めているためか少し癖があり、一部の路線のみ改札外乗り換え可能という駅もあります(飯田橋駅、日比谷駅など)。とはいえ、距離・経路次第では初乗りで何度も乗り換えをすることができ、運賃を安く抑えることができます。
土休券なら1枚あたり122円! 運賃をさらに安くできる日時限定の切符
乗り換えの他に、東京メトロの運賃についてもご紹介しておきましょう。以下、通常運賃の他に時差券、土休券という日時限定の切符があるのが特徴です。
※時差券とは:平日の10時〜16時と土日祝日、年末年始に使える切符。普通運賃の10倍の値段で12枚綴り。
※土休券とは:土日祝日、年末年始に使える切符。普通運賃の10倍の値段で14枚綴り。
時差券も土休券もバラ売りはしていないため、1枚あたりの金額を運賃として、表にしてみました。以下の通りです。
切符の種別 | 6kmまで | 11kmまで | 19kmまで | 27kmまで |
---|---|---|---|---|
普通乗車券 (カッコ内はIC運賃) | 170円 (168円) |
200円 (199円) |
250円 (242円) |
290円 (283円) |
時差券(1枚あたりの運賃) | 約141.7円 | 約166.7円 | 約208.4円 | 約241.7円 |
土休券(1枚あたりの運賃) | 約121.5円 | 約142.9円 | 約177.8円 | 約207.2円 |
※表は全て大人運賃(中学生以上)です。普通乗車券のみ、小児運賃(大人運賃の約半額)があります。
ただし、バラ売りはしていなくても、1枚だけ使いたいという方もいらっしゃると思います。その場合は、金券ショップの利用がおすすめです。
金券ショップは新橋・新宿・渋谷・上野・東京といった主要駅に周辺には大抵ありますが、お勧めは新宿駅です。中央西口の思い出横丁のあたりに多数のお店があるので、そこで調達しておきましょう。1枚135円〜140円くらいで手に入ります。
もちろん、14枚使い切れる方は自動券売機で買っておきましょう。suicaなどの電子マネーが使えるのが魅力です。
さて、制度と土休券を紹介したところで、早速お手軽東京散歩に繰り出してみましょう。今回は新宿三丁目から池袋、日比谷、最近開業した虎ノ門ヒルズ、そして渋谷駅を経由します!
スタートは新宿駅。甲州街道口から副都心線の新宿三丁目駅に移動して、池袋駅へ
まずは今回の起点、新宿駅です。写真は南口です。
そして反対側には、甲州街道口とバスタ新宿が。今回は新宿三丁目駅を利用するので、バスタ新宿の前から新宿三丁目方面に移動します。
JRの出口から新宿御苑方面に歩くと、下りのエスカレーターがあります。
エスカレーターを下りると、新宿三丁目駅の入り口があります。
多少距離はありますが、副都心線の改札まで概ね一本道なので、迷いにくいルートです。
通路を道なりに進むと、右手に副都心線の改札が見えてきます。
ここで、新宿三丁目駅の路線図をチェックしてみましょう。注目すべきは、池袋・日比谷・渋谷の運賃。どれも170円というのがミソです。山手線の反対側である日比谷まで初乗りで行けるという事実に、驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
改札を通ってホームへ。池袋方面に乗車します。
池袋駅に到着。急行なら1駅です。改札はオレンジ色の「乗り換え用の改札」を通ります。普通の改札を通ると切符が回収されてしまうことがあるのでご注意ください。
池袋から有楽町へ。都心の人気スポットを巡る
副都心線池袋は、丸ノ内線・有楽町線と比べると西口寄りにあります。あとで有楽町線に乗り換えるので、改札を抜けたら、東口方面に移動します。サンシャイン口まで移動して地上に出ると、後ろには池袋西武が。
池袋駅東口の見所といえばやはりサンシャインシティです。30分だと時間が足りないのですが、60分なら行って戻ってくるくらいの時間の余裕があります。もちろん、駅前の家電量販店で買い物をするのもありです。
サンシャインシティに行くときは、東急ハンズ横の地下道を使うと便利です。サンシャインシティ自体の紹介は長くなりそうなのでまた別の機会に。
やや駆け足に一通り散策したら、有楽町線の改札へ。新木場方面に乗車します。
有楽町駅に到着。ここでは日比谷線・千代田線の日比谷駅に乗り換えることができます。地上に出ると、JR有楽町駅が目の前に。
有楽町といえば東京交通会館が有名ですね。この辺には47都道府県のご当地アンテナショップが集まっています。交通会館にも何県か入っていますので、興味のある方はぜひ。
また、日比谷駅と並んで銀座が徒歩圏内なのも見逃せません。ちょっとした用事であれば60分でも間に合うでしょう。
銀座和光。戦前からこの位置にある建物です。占領軍が一時接収したことでも知られています。
ソニービルの跡地は、今は「Ginza Sony Park」という憩いの場になっています。クリスマスを初めとして年に何回かイベントも開催されます。
反対側には、有楽町マリオンが。阪急、ルミネ、ピカデリーなどがテナントで入っています。有楽町駅と銀座を分けるビルでもあります。要するに、有楽町からここの交差点まですぐ来れる、ということですね。
そして、銀座の歩行者天国。外国人観光客にも大変な人気でしたが、今は時節柄そうでもないです。この辺でそろそろ駅に戻ることに。もっとも122円なので、銀ブラしたい時は一度下車するのも手です。「60分以内なら同じ切符、それ以上なら買いなおせばOK」という選択が気軽にできるのも改札外乗り換えの魅力です。
一通り銀座を満喫したら日比谷駅へ。銀座から皇居方面に進み、日比谷シャンテや東京ミッドタウン日比谷があるあたりにあります。
日比谷線の恵比寿・中目黒方面に乗車します。
虎ノ門ヒルズと渋谷。2020年現在進行形で進化する街を散策
移動すること2駅、2020年6月に開業した新駅・虎ノ門ヒルズ駅に到着しました。
位置的には、霞ヶ関駅と神谷町駅の中間になります。少し遠いですが、銀座線虎ノ門駅に乗り換えることができます。
乗り換えるときは、これまでと同様オレンジ色の改札を通ることをお忘れなく。
日比谷線と銀座線の間には、長い地下通路が。せっかくなので地上に出てみましょう。
虎ノ門ヒルズはビジネス寄りのショッピングエリアで、これまでの再開発と比べて、「都会のオアシス」という雰囲気を漂わせた作りが特徴です。
エントランスや広場など、目立つ場所にアート作品があるのも、心の栄養になりそうですね。
そして、開業前から広告などによく出ていた「トラのもん」。既存のキャラクターに手を加えて知名度を流用するという手法の走りになったキャラのような気がします。
また、敷地内には緑地もあり、季節ごとに様々な花を咲かせます。開業は6月だったのでアジサイが目立ちました。
都心の一等地に誕生した、名実ともに「都会のオアシス」虎ノ門ヒルズ。まだまだ建設中ですが、どのように進化していくか楽しみですね。
この辺で駅に戻り、銀座線虎ノ門駅への地下通路を通ります。結構距離がありますが、地上乗り換えもそれなりに複雑なので(特に銀座線→日比谷線の乗り換え)、苦手な方は地下通路を通った方が安心です。
ちなみにこちらは地上の虎ノ門駅。都営三田線の内幸町駅が意外と近かったりします。
真新しい地下通路から、古びた銀座線の駅に。写真で見ると駅と通路のギャップに驚きます。
ただし、銀座線の方も改装中のようですので、近い内に虎ノ門ヒルズの乗り換えにふさわしい内装がお目見えするでしょう。東京オリンピックに合わせて街が綺麗になるのはいいですね。
銀座線に乗り、最近リニューアルした渋谷駅へ。
巨大生物の肋骨のような、有機的なデザインが特徴です。
以前は東急百貨店のビルに入り込む形で線路がありましたが、リニューアルに伴い少し手前に移動しました。渋谷ヒカリエが至近距離です。出口はヒカリエ側に新設された北口と…
今まで通り東急百貨店に抜ける南口があります。今回はヒカリエ側から出てみました。
新設された銀座線の改札。銀座線のラインカラーであるオレンジを強調しています。乗り換えなので、通る改札もオレンジ色です。
外観はこんな感じ。渋谷ヒカリエの隣という立地になりました。
何年経っても工事が終わらない印象のあった渋谷駅周辺ですが、最近は少しずつ新しい建物がお目見えしています。まず目を引くのは駅のそばにできた「渋谷スクランブルスクエア」。一見足元が不安定な感じに見えるデザインが目を引きます。ビルの端っこに映像が流れているのも特徴ですね。渋谷の持つ文化・クリエイティブの発信地というコンセプトがあるようで、付近には有名なIT企業が多く集まっています。ちなみに建物としてはもう1棟できるらしく、写真は「東棟」になります。
いつ行っても人で溢れかえっているスクランブル交差点から109をに向けて1枚。時期が時期なので、比較的空いていました。
そして、JR渋谷駅前のようす。60分でも駅周辺やセンター街あたりまでなら十分足を伸ばせます。Bunkamura ザ・ミュージアムとか見るなら下車した方が良いかもしれません。
渋谷の本当の工事はこれからですが、変わりゆく駅前の様子に期待が膨らみました。新しい建物に足を運んでみるのも面白そうです。
一通り渋谷駅前を見たら、副都心線へ。
副都心線は他と比べて後発のため、改札からホームに向けて地下に降りてゆきます。この日はあまり人気がありません。
新宿三丁目駅に到着しました。ここがゴール・・・と言いたいところですが、1枚の切符で来ている場合、発駅と同じ駅では降りられません。よって、ここで最後の乗り換えをします。
副都心線のホームに着いたら、丸ノ内線寄りの一番端まで移動します。すると、写真のような丸ノ内線に改札内乗り換えができる階段があります。今回の場合、発駅での改札外乗り換えはできませんので、ここだけ改札内乗り換えを行います。
階段を登ると、そこには丸ノ内線のホームが。荻窪行きに乗車します。
距離的には300m程度ですが、一駅乗車して新宿駅へ。
階段を登ると、すぐ改札があります。これでようやくゴールとなります。122円で、東京を一周できました。
丸ノ内線新宿駅の位置ですが、JR新宿駅よりも南寄りにあり、小田急新宿店や思い出横丁が便利です。
もちろん、少し歩けば新宿駅東口や、歌舞伎町側へも出ることができます。思い出横丁からならガード下を通るのが便利ですが、小田急からなら7月19日に開通した東西自由通路も便利です。お疲れ様でした〜。
おまけ:乗り換え駅が170円区間外のときに使う精算機について
使いこなすと便利な、東京メトロの改札外乗り換え。最後に乗り換え時の精算についてご紹介しましょう。
今回のルートは全ての駅が170円区間に収まっていたので使いませんでしたが、改札外乗り換えをするときは「手持ちの切符の運賃が足りていること」という条件があります。要するに、170円切符で運賃が200円の駅で乗り換えようとしても、通せんぼされるわけですね。
そのときは、写真のような精算機で乗り換え駅までの運賃をいったん精算します。東京メトロの土休券は金額式のため、乗越駅までの差額を払えば良いので、例えば200円の駅に170円切符で到着した場合、30円を払えばOKです。
差額を払うと、写真のような新しい切符が発行され、改札が通れるようになります。乗り換え駅は都心にあるため、大抵は200円区間に収まることが多いのですが、170円土休券を使っていると精算することは割とあります。要するに、精算の手間さえ考えなければ土休券は170円の方が使い勝手が良い、とも言えます。
予算122円のお手軽東京散歩、いかがだったでしょうか。改札外乗り換えの充実ぶりに関しては他の追随を許さない東京メトロですが、乗り換え60分化によって決定的になった気がします。これほど少額の交通費で一周できるのはありがたいという他ありませんので、足代を節約したい方、行先の用事がある程度決まっている方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。