2021.05.31 ベストシーズンは5〜6月? 東京さくらトラム(都電荒川線)を彩る沿道のバラ巡り
東京さくらトラムこと都電荒川線といえば、東京に唯一残る都電として知られていますが、実は桜やアジサイ、バラといったお花見の名所でもあります。特に5〜6月はベストシーズンといってもよく、荒川区内を中心に春バラを至る所で見ることができます。2021年は見頃が早く、天候その他諸事情によってなかなかチャンスがなかった方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、2019年の写真を中心に、都電荒川線のバラのオススメスポットをご紹介したいと思います。下町ならではのグルメスポットも少し掲載しますので、町歩きの参考にしてみてはいかがでしょうか。
元々は私鉄だった? 都電荒川線の歴史とバラの名所について
現在は東京都交通局が管理している都電荒川線ですが、1913年の開業当時は王子電気軌道という私鉄によって敷設され、1942年に東京都の所有となりました。現在の経路になったのは1974年で、2系統の路線を統合したために早稲田-三ノ輪橋を直線で結んでおらず、カーブが多いという特徴があります。
バラの名所については主に荒川区側に偏っており、荒川車庫前、町屋駅前、三ノ輪橋などを挙げることができます。その他、大塚駅前も近年「大塚バラロード」として整備を進めており、イベントやフォトコンテストなども開催されています。それでは順番に、ご紹介していきましょう。
駅前の再開発でバラの新名所に? JR山手線との乗り継ぎも便利な「大塚駅前停留場」
まずは今回最初のスポット、大塚駅前停留場へ。運賃は全区間均一で170円ですが、1日券が400円と安価なため、今回のような散策ならオススメです。
JRの駅ビル建設に合わせて、駅前の整備が急速に進んでいます。とはいえ都電荒川線の方はさほど変わっていません。それでも周辺が変わった分、印象が変化した感じがします。
アトレが入っている大塚駅南口。北口との間は通り抜け自由です。
南口から線路を跨いだ先にある、大塚サンロード付近。整備前と比べてフラットな感じになり、都電の写真も撮りやすくなったのではないでしょうか。
南口駅前には広場も新設され、4月には桜、春と秋にはバラを楽しむことができます。
池袋駅と比べてややうらぶれた感じのあった大塚駅ですが、現在はご覧の通り立派な駅ビルが。
地上にあった駐輪場も地下に移され、入り口の横にはバラが植えられています。
ガラス張りの入り口だけだと殺風景になるところを、うまく緩和していますね。
都電との組み合わせで1枚。
縦構図でも3枚ほど。なかなか難しい…。
ちなみに北口は北口で整備が進んでおり、駅前のロータリーを中心に広い空間を確保しています。
以前の大塚駅を知っている方ほど「こんなにスペースあったっけ?」と面食らうこと請け合いなので、バラの鑑賞とセットで下車してみるのもオススメです。
バラを一通り見たところで、次の目的地へ。三ノ輪橋方面に移動します。
都電の本拠地はバラの名所。あらかわ遊園が休業中でも楽しめる無料のバラ花壇
続いてやってきたのは、荒川車庫前停留場。王子駅前から三ノ輪橋方面に数駅の立地です。
都電荒川線は、ここから終点の三ノ輪橋までの区間が特にバラの見所が多い場所として知られ、荒川区を代表する花としても知られています。それだけに、都電の愛称が「東京さくらトラム」になったときには、少々反発もあったようです。飛鳥山公園の桜なども有名なので、この辺は甲乙つけがたいですが。
路面電車と沿道のバラの取り合わせが人気を呼び、休日は多くのフォトグラファーで賑わいます。
しかし、実際に撮ろうとすると花の高さが足りなかったりして、狙った構図に修めるのは結構難しかったりします。うまく撮れたらラッキー、くらいの気持ちの方が良いかもしれません。
体感的には、横より縦の方が構図に収めやすい気がします。
この辺でいったん都電おもいで広場へ。停留所の立地を生かしてレトロ車両を無料で公開しているスポットです。
ひとつ隣にはあらかわ遊園もあり、沿線のバラを見ながら徒歩で回る方も多い気がします。
あらかわ遊園の方は2022年春までリニューアル工事中ですが、遊園地までのバラ花壇は引き続き見ることができます。区のホームページによると荒川区で一番古い花壇だそうで、質・両共に荒川区一のバラが楽しめます。
遠巻きに撮っても見栄えはするのですが、接写も挑戦してみました。アップで見栄え良く撮るのは結構難しいですね。
一通りバラ花壇を撮ったところで、次の目的地へ。
途中・熊野前で日暮里・舎人ライナーと交差します。「都営まるごときっぷ」なら両方乗り放題ですので、お持ちの方は高架線からの眺めを楽しんでみてもいいかも。
町屋駅前〜三ノ輪橋の沿道はバラづくし。下町情緒を感じさせるグルメも
荒川遊園地前からさらに数駅移動して、町屋駅前へ。京成本線、東京メトロ千代田線が乗り入れるターミナル駅です。あまり知られていませんが、月島に次ぐもんじゃ焼きの名所でもあります。
駅前にはバラが植えられていますが、あらかわ遊園と比べると規模は今ひとつ。しかし電車と一緒に撮るには絶好のロケーションだったりします。
タイミングを合わせれば、ご覧の通り。停留所から京成線のガード下までの区間が狙いやすいと思います。
続いては荒川区役所前へ。この辺の沿道は切れ目なくバラが植えられているので気になる駅があったら降りてみましょう。
数分歩いて荒川区役所へ。区役所の手前が荒川公園という緑地になっていてバラも楽しめます。
時々イベントも開催される、荒川公園。休日は家族連れなどで賑わうこともあります。
また、荒川区役所前は、荒川区随一のデカ盛り中華として知られる「光栄軒」の最寄り駅でもあります。
名物はチャーシューを惜しげなく使ったチャーハン(税込600円)。+250円で大盛りにするとご覧の通りのボリュームに。さらにこの上に特盛り(税込1,100円)があるというから驚きです。
ごちそうさまでした〜。
荒川市役所前から再び都電に乗り、終点・三ノ輪橋へ。600mくらいなので徒歩でも移動できます。
以前こちらの記事で少し紹介したとおり、国道4号に面した三ノ輪橋停留所入り口の建物は、旧王子電気軌道の事務所として使われていました。現在は写真屋さんになっています。
停留所周辺は程よいレトロ感を感じる整備がされていますが、特にバラの季節は色とりどりの花を楽しむことができます。
都電の終点ということもあり、電車とバラの組み合わせが撮りやすいのもポイントです。
また、終点までの線路に沿って商店街「ジョイフル三ノ輪」があり、時々イベントも開催されます。足元の日差しが矢印のようにも見えますね。
都電にあやかって、「都電屋」というカフェも。
地図のタイトルが王子電気軌道になっているのがまたいいですね。
さて、ここでもう1軒オススメのグルメスポットをご紹介しましょう。商店街のアーケードから300mほど北の千住間道沿いにある「青木屋」さんです。
ここの名物はサンドイッチ系のパンで、どれもボリューム満点。今回はとんかつパン(税込280円)を注文。
一見お値段高めながら、他のパンの倍くらいのボリュームがあります。ランチなら1個でも十分でしょう。
中のカツもジューシーで、ややしっとりした感じのパンによく合います。日祝はお休みで午後には売り切れることもありますが、機会がありましたらぜひ。
ちなみに商店街内にある「パンのオオムラ」さんも同じくカツサンドを販売していますので、食べ比べもオススメです。水曜定休で青木屋さんと休日が被らないのもいいですね。
のんびりとした都電の雰囲気とバラを両方楽しめる、5〜6月の荒川線沿線。秋にもバラが楽しめますので、気になる方は見頃に合わせて、400円の小旅行に出てみてはいかがでしょうか。