2022.08.26 富士山の夏を締めくくる天下の奇祭! 2kmにわたる松明が圧巻の「吉田の火祭り」

毎年8月26日・27日に開催され、富士吉田に秋を告げる大祭「吉田の火祭り」。コロナ禍を経て、3年ぶりに通常開催されます。この祭りの最大の見所は、26日夜に行われる「鎮火祭」。富士みちに2kmに渡って置かれた松明が、見る人に夏の終わりを強く印象付けることでも有名で、日本三奇祭の一つに数えられる知名度を誇ります。
今回は、2018年に撮影した写真をもとに、26日の様子をご紹介したいと思います。富士吉田へのアクセス手段やおすすめのグルメなどと合わせてお送りします。
遅延の少ない鉄道と、お手頃価格の高速バス。中央道下吉田を使うとさらにお得に

吉田の火祭りは、北口本宮冨士浅間神社と諏訪神社の祭りで、富士急行線の富士山駅の近くにある金鳥居から、北口本宮冨士浅間神社へ向かう坂道が主な会場となります。新宿駅から富士山駅に向かう方法としては鉄道と高速バスが便利です。

まずは鉄道から。富士山駅は富士急行線の中心的な駅で、新宿から特急「富士回遊」が直通するほか、富士急行線内を走る「フジサン特急」などのアクセス手段があります。
富士回遊を使えば新宿から最速1時間47分でアクセスできますが、運賃が4,001円と高めなのがネック。ただし中央道の渋滞(特に小仏トンネル)を確実に避けられるので、定時制を重視したい方にオススメです。

一方、高速バスの富士五湖〜新宿線を使うと新宿-富士山駅間を1,850円(WEB予約の場合)で移動することができ、所要時間も渋滞がなければ富士回遊と同等と、大変便利です。ただし、中央道の上り線は渋滞で1〜2時間遅れなどがよくあるため、交通量の少ない時間帯に利用するのがオススメです。

また、富士山駅に停車する便がさほど多くないため、2つ手前の「中央道下吉田」で降りるという手もあります。こちらの方法はおサイフに優しいのがメリットで、中央道上野原-中央道下吉田であれば、運賃は660円(WEB予約の場合)。
新宿駅から上野原駅は京王線とJR中央本線を乗り継いで697円のため、上野原駅から高速バスに乗り換えれば、1,357円で新宿から下吉田に行くことが可能です。特急と比べると1/3くらいの値段ですね。
※上野原駅から中央道上野原までの道順はこちら

中央道下吉田から富士山駅までは、徒歩で25〜30分程度。少し長めの距離ですが、眺めの良い富士みちから富士山をじっくり見られる良さがあります。寄り道できるスポットもあるので、富士講の足跡を追う気分でなだらかな登り坂を歩いてみてはいかがでしょうか。
ご当地グルメに有名カレー店など。早く着いても楽しめるグルメスポット紹介

晴れた日は富士山がよく見える、下吉田周辺。実は富士山駅に向かう途中にも立ち寄りたいグルメスポットがあります。2件ほどご紹介しましょう。

まずは1軒目。中央道下吉田から徒歩10分強の場所にある「みうらうどん」。富士吉田のご当地グルメ「吉田のうどん」を代表する名店です。

もともとは米を育てにくい富士山麓の気候に合わせて生まれた料理で、讃岐うどんのスマートさとは真逆の、荒削りで食べ応えのあるうどんが楽しめます。価格帯が400〜500円とお手頃なのも魅力で、コシの強さもあって食べた後はえも言われぬ達成感があります。営業時間は10時から14時までのため、吉田の火祭りに行く前のランチとしてもピッタリですね。

次に紹介するのは、糸井重里さんが商品化したことで一時期話題になった「イトリキカレー」が食べられるカレー居酒屋「糸力」。下吉田から富士山駅に向かう途中で、路地を一本入ったところにあります。

かつては居酒屋のメニューとして販売されていた、イトリキカレー。知名度が上がったおかげで、今ではすっかりカレー屋として有名になりました。通販などで取り寄せたことはあっても、実店舗が富士吉田にあることを初めて知った方もいらっしゃるのでは。レトルトのイトリキカレーが気に入った方には、ぜひお勧めしたいお店です。
富士山を模した神輿に、90基の大松明。鎮火祭当日のようす

さて、アクセス手段とグルメスポットを紹介したところで、ここからは1日目の鎮火祭の様子を写真付きでお送りします。まずはスタート地点となる、北口本宮冨士浅間神社へ。富士山駅から坂道を登って徒歩20分程度の場所にあります。

鎮火祭で一番盛り上がるのは夜なのですが、その前に神輿渡御があります。神輿は2基あり、写真は明神型神輿の「お明神さん」。日本の祭りでよく見る、一般的な形状です。

そして、もう片方が赤富士を模した「お山さん」と呼ばれる神輿で、これら2基の神輿が夕方まで市内を練り歩きます。

神輿が境内の御旅処に奉安される頃には、あちこちに準備の済んだ松明を見ることができます。神社から坂を降りて富士山駅方面へ。

松明点火まで少し時間があったので、途中にある旧外川家住宅へ。かつて富士講が盛んだった頃に巡礼者を泊めた御師の家で、江戸時代の作りをそのまま残しています。通常の開館時間は5時までなのですが、火祭りに合わせてか少し延長されていました。

その他、空き地では富士山火焔太鼓の実演などもあり、松明以外にもいくつかイベントが用意されています。

日が暮れる頃になると、道路沿いも徐々に賑わってきました。

通りには、筒状の松明の他に薪も。結構な高さがあります。

松明点火直前の金鳥居周辺。カメラをスタンバイしている方も見かけます。

金鳥居の前にある最初の松明に火がつけられ、火祭りが始まりました。以前は一晩中燃やしていたそうですが、今は午後7時〜10時くらいまで見ることができます。

すっかり日が落ちて、辺りもだいぶ雰囲気が変わってきました。

人通りが多い中、結構派手に燃えている松明ですが、今まで火事になったことはないそうです。薪の置き方とか作り方とか動線とか、相当気を配ってることが想像できます。

ここからは、当日撮影した写真を何点か。




富士吉田にとって秋の到来を意味する、吉田の火祭り。揺らめく炎を見ていると、あっという間に過ぎていく夏を思い返して、一抹の寂しさを感じられるかもしれないですね。

帰りのバスの時間が近づいてきたので、この辺で撤収。高速バスの最終便は20:04富士山駅発ですが、鉄道は21:21が終電のため、ゆっくり見たい方は電車という手もあります。

ちなみに、北口本宮冨士浅間神社から2kmほどの位置にある富士急ハイランドでは花火を打ち上げる日があるため、時間が合えば松明と花火の両方を見ることができます。富士吉田は宿泊施設も多いため、じっくり見るなら1泊するのも良いかもしれません。
8月26日・27日に開催される「吉田の火祭り」、いかがだったでしょうか。非常に高いインバウンド人気を誇る富士五湖周辺ですが、吉田の火祭りは単純な観光とは一線を画した、複雑な民俗信仰を持った祭りとしても知られています。また、吉田のうどん巡りをはじめとする食べ歩きの要素があるのも、富士吉田の魅力の一つ。興味のある方は、気になったテーマで、実際に足を運んでみてはいかがでしょうか。
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