2019.08.13 青春18きっぷを超えた? 最強最安の「えちごツーデーパス」で行く予算1万円の新潟夏旅行(3)
2,690円で新潟県の鉄道が2日間乗り放題になる*「えちごツーデーパス」。前回の柏崎に続き、越後川口の花火をご紹介します。途中の寄り道も自由自在なフリー切符。花火も、寄り道も魅力的な1日をお送りします!
*上越新幹線と在来線特急は特急料金が必要です。北陸新幹線は利用できません。
前々回の記事「えちごツーデーパス」の概要はこちら
前回の記事「ぎおん柏崎まつり 海の大花火大会」のようすはこちら
ラーメンに工場見学。世界的な金属加工の町「三条」と「燕」
先日泊まったホテルから最寄り駅へ。ここ黒井駅は快速が止まらないため、いったん直江津駅へ。
直江津では、えちごトキめき鉄道のリゾート列車「雪月花」の姿も。最近流行りの料理付き列車です。結構いい値段しますが一度は乗ってみたいですね。
ここから信越本線で北上します。
日本海の海岸線を眺めながら、列車は一路北へ。途中柏崎駅で越後線に乗りかえます。
越後線は新潟駅と柏崎駅を結ぶローカル線で、信越本線より海寄りを走ります。新潟から離れるにつれて本数が少なくなる路線でもあり、柏崎発着は1日9往復。時間は調べておきたいですね。
越後線に乗って約1時間、吉田駅へ。
吉田駅も夏祭りの最中ですが、他の地域と日程が被っているため断念。どこに行くか迷うくらいのイベントがあるのが夏の新潟です。ここからは弥彦線に乗りかえます。
弥彦線は弥彦駅と東三条駅を結ぶ全長17kmの短い路線です。単線ながら新幹線などへの連絡を担っています。本数が1~2時間に1本くらいなのがちょっと残念ですね。高頻度輸送したら化けそうな気がする路線の一つです。
西燕駅で下車。ここからお目当ての店まで歩きます。徒歩10分程度。
今回訪れたのは、燕系ラーメンのパイオニア「杭州飯店」さん。それなりに並んでいます。
燕系ラーメンは、うどんのような麺と背脂を使った濃厚なしょうゆ味が特徴です。冬に食べたら身体が温まりそうです。駅から歩いてこれる位置にあるのもいいですね。
ここからは駅に戻り、途中東三条での乗り換えを挟んで帯織駅へ。金属加工の町・三条市の南に位置する駅です。
駅から数分歩くと、写真のような景色に。まっすぐ歩きます。
辺りは一面の田んぼ。米どころの新潟らしい風景しょうか。
駅から15分ほど歩き、「SUWADA OPEN FACTORY」に到着。世界的に有名な爪切りのメーカー「諏訪田製作所」の工場です。
建物は大きく分けて2つあり、片方はバーや直売所が入っています。
そしてもう片方が、メディアなどでも取り上げられることも多い、工場本体です。飾り気が少ないのに本当にかっこいいですね。ちなみに入場無料です。
エントランスには、不思議な素材を使ったアート作品が。この素材が持つ意味は見学後に分かります。
人形以外には、ライオンや盆栽なども。メタリックな盆栽は絵になりますね。
工場へ向かう途中の通路では、諏訪田製作所の歴史や製作に対する姿勢を、実物とともに知ることができます。
爪切りのモデルチェンジの様子。会社の歩んできた道でもあります。
爪切りの原材料。質の良い延べ棒を……
400tの力が出せる専用のハンマーで叩き、鍛造します。そして中央の部分を取り出して残りは廃棄する、という過程を見ることができます。また、先ほど見た作品は捨てられる部分を使っているのだそうです。奇妙な材料でしたが、ちゃんと意味があったわけですね。
そのほか、諏訪田製作所は盆栽用の特殊鋏も製造しています。先ほどのアートで盆栽を選んだテーマ選びの意味が分かる、ニクイ構成です。
通路を通って扉を開けると、そこは町工場の世界。飾り気のない実用本位の無機質が広がります。しかし、不思議と温かみを感じさせる空間です。
先ほどの超高圧ハンマーの音が響く中、積まれたスクラップを眺めていると「職人って、美しいな」と改めて思います。1926年の創業から100年弱、おそらく天文学的な回数の試作を経て、今の完成形が作られているのでしょう。
制作工程の部分を完全オープンにする、という決断はなかなかリスキーですが、スタッフの丁寧な仕事ぶりによって、ブランディングとしては非常に成功しているような気がします。研磨機の横に丁寧に置かれた爪切り、素敵ですね。
文鎮代わりに置かれたスクラップにもストーリーがあり、形の必然性がある、ということを実感した工場見学でした。電車でも車でも来れますので、新潟に来たら一度は訪れたいスポットです。
ちなみに販売所では爪切りの試用もできますが、あいにく爪を切ったばかりで見るだけとなりました。爪を伸ばさなかったことを後悔するという稀有な体験をしないためにも、爪に余裕を持って訪れたいですね。
新潟県中越地震の震源地・越後川口で打ち上げられる復興の大花火「エピセンタ」
諏訪田製作所のあとは、本日の最終目的地・越後川口駅へ。飯山線と信越本線が合流する駅でもあります。
祭りのメイン会場は川口支所付近で、駅から徒歩3分程度という近さ。花火会場もすぐ近くです。
支所前ではバンドの演奏や……
太鼓の実演なども。途中夕立もあったので雨宿りしつつ待ちます。
どことなく村祭り的な雰囲気が漂う、祭り会場のようす。支所周辺にコンパクトにまとめられていて、何となくほっこりします。しかし花火のクオリティは村祭りではありませんでした。その数5000発。やはり花火大国・新潟は格が違います。
午後8時を過ぎ、河川敷で花火が上がりました。早速見に行きます。
肝心の花火ですが、国道17号線沿いの土手から見るため見晴らしも良く、有名どころの花火を比べると人も少ないです。控えめに言ってかなりの穴場だと思います。柏崎の花火と比べるとナレーションが短く、サクサク進むのもポイントです。なにより5000発という量が丁度いいですね。
今回は横に広い花火が少なかったので、縦画面で撮ってみました。何カットか動画でお送りします。
花火は順調に進み、20:50位になったところで、今回の目玉「エピセンタ」が打ちあがります。エピセンタとは「震央」という意味があり、新潟県中越地震の震源地となった越後川口が、復興の願いを込めて打ち上げている花火だそうです。
何となく長岡の「フェニックス」と立ち位置が似ている気もする、越後川口の花火。いろいろ大変だったんだな、と思いつつ花火に臨みましたが……エピセンタは想像の斜め上を行きました。
もはや言葉はいりません。動画をご覧ください。
「震災」「鎮魂」「復旧」といったしめやかなワードを苗場の向こうにフライアウェイする、BGMの逆転満塁ホームラン。プロレスかよっ! というベーシックなツッコミの余地を与えない清々さに、胸がすく思いがしました。この路線で行くなら、来年は「I Fought the Law」とか流しそうですね。それはそれで見てみたい気もします。
いろいろな意味で記憶に残る越後川口の花火、いかがだったでしょうか。花火としてのクオリティは本当に高いので、日程が合うならおすすめのイベントと言えそうです。
次回はいよいよ最終日。寺泊の朝市や新津車両センター、直江津祇園祭などをご紹介します!
えちご川口Naviのページはこちら
えちごツーデーパスのページはこちら
諏訪田製作所のページはこちら
えきねっとトクだ値・お先にトクだ値のページはこちら
JR東日本のページはこちら