2021.05.05 1日350円で乗り放題!「台東・墨田東京下町周遊きっぷ」で行く下町散策(日暮里・谷中編)

下町で使える1日あたり350円のフリーパス「台東・墨田東京下町周遊きっぷ」。今回ご紹介するのは、所謂「谷根千」として知られる日暮里・谷中周辺。情緒あふれる眺めが人気の「夕焼けだんだん」の他、個性的なお店やアートスペースなどもある、様々な顔を持った場所でもあります。その他、異国情緒あふれるグルメスポットも・・・? 1回で語り尽くせない谷根千の町歩きの様子をお送りします。
新型コロナウィルスの影響により、紹介しているスポットの臨時休業・営業時間の短縮などが発生している可能性があります。ご注意ください。
海外でも人気スポットの筆頭に挙がる「夕焼けだんだん」。商店街の個性的な看板も魅力

山手線の内側に位置する、谷根千エリア。はじめにアクセス手段から紹介していきましょう。上野からなら、台東区のコミュニティバス「めぐりん」を使うと、谷根千を細かく乗り降りできて便利です。台東・墨出下町周遊きっぷなら無料で利用できます。上野駅入谷口で乗車します。

どこで降りてもある程度大丈夫ですが、乗車時間の短い谷中霊園入口が割とお勧めです。

バスを降りた後、中華屋さんがある写真の路地を入っていくと数分で朝倉彫塑館に着きます。下町周遊きっぷで間に合わせるならぜひ。

その他、JRを使うのもお勧めで、日暮里駅が最寄りとなります。夕焼けだんだんまで徒歩5分程度。

日暮里駅西口から真っ直ぐ歩くと階段状の道路に出ます。

数年前から海外を中心に人気が出始め、今では写真を撮る人を常に見かける「夕焼けだんだん」。インバウンドで人気が出たのは、日暮里駅が京成スカイライナーの停車駅であることも一役買っている気がします。要するに、空港を出て初めて見る景色な訳ですね。確かに印象に残りそうです。

階段を降りると谷中銀座商店街へ。昔からある東京の商店街の一つですが、よくよく見ると看板などは結構凝っています。何軒か紹介しましょう。

屋根に乗っている猫がかわいい惣菜屋「初音屋」さん。

発酵食品を扱う「HAKKODO」さん。最初見た時何の看板か分からなかったのですが「はっ」と書いてあるんですね。下のローマ字でフォローしているからこそできる芸当です。

花屋「菅井生花」さんの看板。おしゃれながらサスペンスの香りがするデザインが印象に残ります。

谷中銀座はこれ以外にも様々な看板がありますので、歩いてみてお気に入りの看板を探してみるのもオススメです。続いてはアートスポットの紹介へ。
小さくても展示は本物。谷根千を彩るアートスポットの数々

谷根千エリアは、上野方面から見て東京芸術大学の裏手に当たるためか、様々な美術館・画廊があることでも知られています。まずは日暮里駅徒歩約5分の「朝倉彫塑館」。日本を代表する彫刻家・朝倉文夫氏のアトリエを美術館として開放しており、「東京ぐるっとパス」を使えば無料で入場できます。

展示室以外にも屋根の上に彫像が乗っていたりするので、気になる方は建物を一周しているのもいいですね。

続いては根津駅徒歩約4分に位置する「池之端画廊」。2階建ての小さなアートスペースですが、入場無料で展示替えのペースが早めなのが特徴です。何度も訪れるのにオススメのスポットでしょうか。

訪問した時は、戦前から戦後にかけて活躍した野獣派の画家・熊谷登久平氏の個展が行われていました。シンプルな構成と強い描線は漫画的でもあり、アメリカのポップアートを先取りしているようにも見えます。

中でも特に印象に残ったのは「ローマの碑」という作品。人物の描き方が思いっきりキース・ヘリングですが、登場はこちらの方が先(1965年)。まさか、ポップアートの発祥は日本だった!? なんて妄想をしてしまいそうな1点です。

谷根千は元が下町の生活圏のため、旧建築をリノベーションしたスポットも多くあります。写真は改築したアートスペース「スカイザバスハウス」。不定期で現代アートを中心に展示しています。こちらも展示替えのペースが早いので、リピート推奨です。

剣道場を美術館としてリノベしてスタートした「寺町美術館」。浮世絵を主に展示している美術館で、貸しギャラリーとしても利用可能です。

最後にご紹介するのは、彫刻家・平櫛田中氏の旧アトリエ。公開日が不定期かつ非常に限られているのですが、偶然にもオープンしていたので見学してみました。

アトリエは朝倉彫塑館と比べると小規模でシンプルな作り。保存状態もなかなか良好です。

建物自体は1919年に建築され、1970年に小平に転居するまで使われていたそう。今はNPOの方や芸大の学生さんが時折維持管理をされているそうです。ちなみに小平の方も平櫛田中彫刻美術館として公開されています。こちらも東京ぐるっとパスを使えば無料です。
昭和を感じる古民家カフェやトルコランプが煌く中東料理も。個性が際立つ谷根千グルメ
小規模ながら個性的なお店が多い、谷根千エリア。もちろんグルメに関しても同様で、センスの塊と言えるようなお店がたくさんあります。ここからは、その一部をご紹介していきましょう。

まずはシンプルな和風の立て付けが印象的な「根津のパン」さん。この外見でパン屋というのがまたいいですね。

オープン自体は2018年と割と最近のようです。販売状況はtwitterでも更新していますので、売り切れが気になる方はブックマークすると無駄足がなさそうです。

続いては、これまた銭湯をリノベしたと思しきおしゃれなお店が。パッと見て何のお店か分からないくらい洗練されてますが、誰もが知るたわしのブランド「亀の子束子」の直営店など、4店舗が入っています。建物自体は地区75年の「宮の湯」を再利用して、2020年6月にリニューアルオープンしたそう。

「SENTO」と書かれた煙突もいいセンスです。

さらに根津方面から坂を上がると、本日の有名店その1「カヤバ珈琲」が見えてきます。オープンは1938年という老舗で、休業を挟んで2009年に再オープンした、谷根千を代表する古民家カフェです。時間帯によっては行列もできているようですが、朝8時からオープンしているので、混雑を避けるならモーニングを狙うのも良いかもしれないですね。

そして最後は、本日の有名店その2にして一番推したい谷中の名店「レストラン ザクロ」さんをご紹介します。夕焼けだんだんの階段の下にお店を構える、イラン・トルコ・ウズベキスタン料理のレストランです。

ここの特徴は、何と言ってもグルメと中東文化が両方楽しめるところ。店先のスペースにも物販がありますが、中はもっとすごいです。

一歩入ると、天井を受け尽くすトルコランプの数に圧倒されます。ランプのデザインといい色使いといい、素晴らしいの一言。



ちなみにランプは販売もしているので、気になるデザインがあったらお店の人に値段を聞いてみましょう。意外とリーズナブルです。


壁にはペルシャ絨毯がかかっており、こちらも購入可能です。内装とショーケースを兼ねた一石二鳥の戦略。

一通り店内を見回したら、ランチタイムへ。中東らしく店内には椅子がなく、床の上に敷物とテーブルを直に置きます。席を増やすのも片付けるのも自由自在というのがまたいいですね。


用意された席でメニューを確認。ザクロさんには「幸せランチ」というボリューム炸裂の人気メニューがあるのですが、コロナの影響で現在はメニューが変更されています。今回は、イランライスとチキンの煮込みセット(税込660円)とピロシキセット(税込550円)を頼んでみました。

まずはイランライスから。主となるプレートの他にパンとスープがつく、値段のわりにボリュームのある一品。赤身がかったスープはショルパというウズベキスタン料理で、ラム肉とひよこ豆が使われています。

チキンの煮込み具合がまた良い感じ。辛くもなく旨味があって、日本人が好きそうな味です。

パンは見た目の印象よりは重みがあり、密度が高そうな感じ。スープと一緒に食べるのが良さそうな気がします。

その他、飲み物としては紅茶がピッチャーで運ばれてきます。レモンを足してお好みの味わいに。

続いては500円のピロシキセットも紹介していきましょう。サラダとスープとピロシキというシンプルな組み合わせ。小腹が減ったくらいで頼むとちょうど良さそうなセットです。

ピロシキはロシア料理のそれとは少々趣が異なり、サンドイッチと言った方が近そうな見た目。肉はやや硬めです。

スープの方は、どうやらイランライスセットと同じ模様。スープといいピロシキといい旧ソ連の雰囲気が感じられますね。1991年までウズベキスタンがソ連領だったこと、かつてトルコやイランとソ連が国境を接していたという事実が思い出されます。広すぎでしょ、ソ連。

ランプを眺めつつ、料理を平らげます。ちなみに夜はベリーダンスのショーもあったのですが、コロナの影響で現在は休止中。ディナーはディナーで実質食べ放題の2,000円コースがあるので、再開されたら夜に訪れるのもオススメです。

夕焼けだんだんの下に位置する、中東料理の名店「レストラン ザクロ」。来る人を楽しませようというホスピタリティの塊のようなお店なので、中東グルメや中東文化が気になる方は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

最後は千駄木駅前から「めぐりん」で上野方面へ。お疲れ様でした〜。
今回は昔懐かしい下町の雰囲気が色濃く残る、日暮里・谷中エリアをご紹介しました。1回では語り尽くせないほどのスポットがあり、変化にも飛んでいる場所ですので、足を運ぶほどに新たな発見があると思います。小さな画廊も多いので、アート好きな方にもオススメです。
これまで14回に渡ってお送りしてきた当連載も、いよいよ次で最終回。次回は東北の玄関口・上野駅周辺をご紹介します!
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