2021.04.30 1日350円で乗り放題!「台東・墨田東京下町周遊きっぷ」で行く下町散策(浅草橋・蔵前編)
下町で使える1日あたり350円のフリーパス「台東・墨田東京下町周遊きっぷ」。今回は問屋街にして屋形船や料亭の町としても知られる浅草橋・蔵前を紹介します。江戸時代以来の繁華街として知られる浅草橋と、「東洋のブルックリン」として近年注目が集まる蔵前。博物館やグルメ情報も交えつつ、町歩きの魅力をお送りします!
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かつて江戸前料亭として栄えた柳橋周辺。現在でも多くの屋形船が
今回のスタート地点となる、JR浅草橋駅。秋葉原駅から中央・総武線で1駅の立地です。
また、浅草橋・蔵前共に台東区を巡回する「めぐりん」の路線内のため、台東・墨田東京下町周遊きっぷを持っていれば無料でバスに乗りつつ、散策することができます。状況に応じて総武線と使い分けたいところです。
浅草橋駅周辺は問屋街で、テレビCMなどでも時々目にする「人形の久月」をはじめとした日本人形のお店も多いです。そのほか、梱包用品などを扱う小売店「シモジマ」も浅草橋に本社があり、駅周辺でも2店舗営業しています。
一方、駅を東に進むとかつての料亭街に行き着きます。今でも屋形船が多く係留しているところにかつての名残が。
隅田川のすぐ近くにかかる「柳橋」。江戸時代からある橋ですが、隅田川にかかる他の橋と同じく、関東大震災後に鉄橋に架けかわりました。
橋のたもとには、かつての賑わいを説明するパンフレットも。
現在は屋形船の一大係留地となっているため、芸者が行き交う当時とはだいぶ趣が異なりますが、今でも営業しています。
柳橋の隣にある船宿「小松屋」さん。川で取れた魚で作った佃煮が人気を博し、現在は佃煮屋さんになっています。江戸前のお土産としては結構知名度があるようです。
柳橋の南側は両国広小路と呼ばれており、江戸時代から交通量の多い道となっています。
現在では京葉道路として、都心から千葉への重要な一般道として、両国・錦糸町・亀戸などに通じています。今回はこの道を取って返して再び浅草橋へ。この辺でランチにしましょう。
浅草橋にある、気軽に入れるタイ料理の店「パヤオ」。エスニック好きにはたまらない米麺のトムヤムクン
柳橋から引き返して、浅草橋の総武線ガード下へ。この辺は飲食店に混じってアクセサリーの素材を扱う中小店舗が多く見られます。手作りアクセサリーとか作っている方はシモジマと合わせてお世話になりそうな感じですね。
それでは本日のランチへ。細めの雑居ビルの2階で営業する、タイ料理「パヤオ」さんです。
1階の中華料理屋の左手にある階段を登って2階へ。
内装はなかなかエスニック感が出ています。いいですねえ、東南アジア風。
今回注文したのはトムヤムラーメン(税込870円)とミニ・グリーンカレー丼(税込260円)。ラーメンにはサラダとデザートがつきます。
トムヤムラーメンは、辛味と酸味が美味しいスープの上に、野菜が乗った一品。赤と緑の組み合わせが食欲をそそります。
麺は米粉を使った半透明タイプ。コシは強くなくプツプツ切れやすいという欠点はあるものの、スープの強めの味と麺の主張の弱さが絶妙にマッチしています。本場仕様というやつです。
グリーンカレーの方は、ライスの上にグリーンカレーをのせたシンプルな一品。
ナスのような、他のカレーだとなかなか味わえない食材が使われているのも、グリーンカレーのいいところですね。これがまた美味い。
仕上げはタピオカ入りココナッツミルクのデザート。他のメニューが結構辛いのでココナツの優しい甘味がよく映えます。ごちそうさまでした。
味が良いのはもちろん、1,000円前後で済むお値段の手頃さも魅力の「パヤオ」。タイ料理は人気の割にお店がそこまで多くないので、気になる方はブックマークしておくと役に立つかもしれません。
リノベーション店舗が熱い「東洋のブルックリン」蔵前。皮革メーカーや玩具問屋の街という一面も
ランチ後は、総武線沿線から北へ。まず訪れたのは蔵前の西、秋葉原からは北東に位置する「おかず横丁」。昔ながらの雰囲気が人気の商店街です。
近くには佐竹藩の屋敷跡地に作られた「佐竹商店街」もあり、レトロな町歩きを楽しむことができます。今回は訪れませんでしたが有名なお店もいくつかあるようですので、食べログなどでチェックすると新たな発見があるかも。
続いては商店街から東の蔵前駅周辺へ。写真のビルは「タイガービル」という、1934年建造の建物。現存する中では台東区最古のビルです。東京大空襲を生き延びた歴史的遺産ながら中のテナントは新しく、リノベーションされている模様。
他にも、蔵前周辺は昭和前半に建てられた建物が比較的多く残っており、新規テナントの入居によって新旧ない混じった風景をあちこちで見ることができます。上の写真は東京貴金属会館のビル。蜂の巣っぽいデザインが古さも相まっていい味出してます。
普通のホテルに見えてビルの壁にロボットのようなものがついているのは、ホテル東横INN浅草蔵前2。かつて玩具工場があったため、その名残として設置しているそう。蔵前は玩具の問屋街としても知られ、版権もののおもちゃで有名なバンダイも蔵前に本社があります。
最後は浅草寄りにある博物館を一つ紹介しましょう。カバンメーカー・エース株式会社が運営する「世界のカバン博物館」。入場は無料で、1階の受付からエレベーターで7階まで上がります。ちなみに日祝は休館です。
7階はカバンの歴史とエースが所有しているカバンのコレクションの展示が中心となります。
展示の質も高く、様々な時代のカバンが一同に会するのはなかなか壮観です。
一方、8階は「新川柳作記念館」として創業者を軸に、エースの歩んだ歴史を紹介しています。博物館という公共性のある展示をしつつ、自社のブランディングにもつなげているわけですね。その他、時期に応じた企画展示用のスペースもあります。
エース自体は関西発のメーカーですが、皮革業が盛んな浅草にオフィスを構えるあたりに、問屋街としての浅草の側面が伺えます。浅草駅からも数分で来られる立地ですので、気になる方はぜひ。
今回は問屋街、メーカー街、花柳界など様々な側面を持つ浅草橋・蔵前を紹介しました。特に蔵前は現在進行形で変わりつつある街のため、訪れるたびに新たな発見があります。緊急事態宣言が解除された際には、台東・墨田東京下町周遊きっぷ片手に、「東洋のブルックリン」の散策に出かけてみてはいかがでしょうか。
次回は「夕焼けだんだん」として世界的に知名度を得たノスタルジックな下町、日暮里・谷中をご紹介します!