2021.04.05 1日350円で乗り放題!「台東・墨田東京下町周遊きっぷ」で行く下町散策(東向島編)
下町で使える1日あたり350円のフリーパス「台東・墨田東京下町周遊きっぷ」。今回は東京スカイツリーと北千住の間にある東向島駅の「東武博物館」をご紹介します。都内では葛西の地下鉄博物館と並んで、アクセスの良い立地が魅力の、東武博物館。120年の歴史を遡れる展示の魅力をお送りします。
最初期のSLから戦後間もないボンネットバスまで。東武の歴史が凝縮された鉄道博物館へ
前回紹介した曳舟駅からさらに北に一駅移動し、東向島駅へとやってきました。開業当時は白鬚駅という名前で、途中玉ノ井駅に改名後、1987年に現在の名称になった駅です。
通勤時間以外は基本的に各駅のみの停車のため、改札もシンプル。台東・墨田東京下町周遊きっぷは自動改札を通れないため、入出場の際は駅員さんに申し出ましょう。
今回紹介する「東武博物館」へ。東武伊勢崎線のガード下に作られた私鉄の博物館です。入館料は200円(交通系電子マネーの場合。現金の場合は210円)ですが、台東・墨田東京下町周遊きっぷを持っていると50%引きになります。1日350円の切符で100円引になると考えると結構な特典です。
館内は1899年の開業時に使われた5号蒸気機関車や・・・
1924年に初めて電化されたときのデハ1形5号電車などが展示されています。
車両は木造で、内装はいかにも大正時代、といった感じ。今のステンレス車両にはない独特の温かみがありますね。
電車だけでなくバスの展示も行っており、主に北関東で活躍した車両を見ることができます。写真のバスはキャブオーバーバスと呼ばれ、エンジンの上に運転席を置くことで客室を広くしているのが特徴です。昭和30年代後半の高度成長期を思わせる、少し懐かしさも感じるフォルムですね。
また、ガード下の立地であることを活かして、東向島駅のホームを見られる「ウォッチングプロムナード」も用意されています。ホームからは撮影が難しい電車下部を撮れるスポットということで、密かな人気があります。
東武120年の歴史を凝縮したかのような、東武博物館。今回は車両を中心に紹介しましたが、その他にも多彩な展示を行っていますので、東向島に来た際は一度訪れてみてはいかがでしょうか。
昔は遊郭があった? 今は静かな商店街になっている玉の井周辺の様子
さてここからは、東向島駅の周辺を少しだけご紹介しましょう。元々戦前から戦後にかけて「玉の井」と呼ばれていた、当駅周辺。名前の由来は、大正中期に浅草の裏手にあった私娼屋が移転してきたため、という話が永井荷風の小説「墨東綺譚」にあります。
昭和に入ってからは、浅草から電車一本で行ける立地ということもあり繁盛したそうですが、現在はその痕跡も目立たず、やや地味な雰囲気の商店街となっています。
ちなみに、東向島のもう一つの有名スポット「向島百草園」は、工事中のため入れませんでした。残念。
駅周辺を出て、少し西の方も散策してみましょう。写真の中央に移るアパートは「都営白鬚東アパート」。南北に長さ1kmにも及ぶ巨大建造物で、隅田川の東側に屏風のように連なっているのが特徴です。実は防災施設を兼ねていて、災害時には防火壁としての役割を果たすらしいですね。
アパートの西側には、駅名の由来ともなった白鬚橋が。
架橋当初は木製でしたが、現在の橋は関東大震災後に復興事業の一環として、1931年に架け替えられました。橋ができる前は渡し船の拠点としても知られ、伊勢物語の主人公が「名にし負わばいざ言問はむ都鳥〜」の歌を読んだのもこの辺り、という説もあります。言問通りの由来にもなったエピソードですね。
この後は東向島駅に戻って、次の目的地へ。お疲れ様でした〜。
今回は、東向島駅に位置する「東武博物館」についてご紹介しました。玉の井自体も複雑な歴史があるのですが、下調べがないとその足跡を追うのは難しいかもしれません。博物館の方は丁寧な展示で誰でも楽しめますので、まずは博物館で東武鉄道の歴史に触れてみるのがオススメです。
次回はさらに北へ。荒川沿いに位置する”映える”写真が撮れる「堀切駅」をご紹介します!