2021.01.23 おいしいホットペッパー生活(6)-台湾独立運動の隠れた聖地。池袋「新珍味」でターローメンを味わう-

「東は西武で西東武〜♪」の歌の通り、東口と西口に繁華街が集まる、池袋駅。あまり目立ちませんが、北口があることをご存知でしょうか。近年はちょっとしたミニ中華街としても注目を集めつつある、北池袋界隈。本日ご紹介する中華料理店「新珍味」はその黎明期からあるお店の一つです。
今回は、昔ながらの町中華「新珍味」の名物「ターローメン」と、お店の設立背景から見えてくる歴史の1ページをお送りします!
※当記事は、「ホットペッパーグルメ」で予約可能かつポイントが使えるお店を紹介しています。予約サイトによって予約可能なお店は異なりますので、ご利用の際はご注意ください。
池袋駅北口から徒歩3分。西口からのアクセスも便利

まずは池袋駅北口へ。線路沿いのちょっと目立たない入り口です。東口と西口の連絡通路「ウィロード」の近くにあります。

池袋駅はそれなりに複雑なので、分かりづらければ西口から出てもOKです。

北口を出て、西一番街へ。昼間なのかコロナなのかなんとなく閑散としています。

池袋駅北口はミニ中華街として知られ、北口の繁華街にはそれらしきお店をよく見かけます。

もっとも、比率的にはパチンコ屋や居酒屋も多い印象ですが。

繁華街に入って少し歩くと、ターローメンの看板が出ている「新珍味」があります。角度を変えて2枚出しているのが、どちらからも目に留まるようにしようという感じで、本気感ありますね。

お店の向かい側には、格安中華料理店が。激戦区であることを伺わせます。

見た感じカウンター主体の狭そうなお店ですが、3階建てのお店です。早速入ってみましょう。
ニンニクが効いたとろみのあるスープが絶品。エネルギーの塊のような「ターローメン」

お店のお品書き。一番人気は新珍味でしか食べられない「ターローメン」。その他、チャーハンや餃子も評判が良いです。今回はターローメンとチャーハンをオーダー。

ちなみにランチタイムは、両方をミニサイズで頼めるお得なセットも。

注文して待つこと数分、ターローメンが来ました。税込990円。一見普通のあんかけラーメンですが……

麺を伸ばしてみるとご覧の通り。引っ張ってもなかなか離れてくれません。それもそのはず、「ターローメン」はスープの上に餡をのせた「あんかけ」ではなく、「スープが全て餡」とでもいうべき特別仕様なのです。「食べるスープ」と言った方が適切かもしれません。

スープ自体はニンニクの旨味が効いていて、塩気は抑えめ。見た目はサンラータン麺のようですが、酸味は少ないです。前述の通り全て餡なので、麺とスープの両方を味わう感じになります。
食べるのにも力が要りそうな、ターローメン。麺と格闘するという言葉が似合いそうなメニューですが、味も相まって食後の達成感はひとしお。初めて新珍味を訪れるなら外せない一品だと思います。

続いては町中華の定番・チャーハン。税込715円。写真で見ても粒の一つ一つが分かるぐらいのパラパラ感ですね。

町中華の王道を行くような味で、何度も通いたくなります。スタンダードながら高い完成度で、リピーターが多いのも納得です。別メニューとして肉片炒飯(税込990円)もありますので、もう少しボリュームが欲しい方はそちらもどうぞ。

麺にスープが絡まっているので、麺を食べ終わる頃にはスープがなくなっていることも珍しくない、ターロー麺。ごちそうさまでした〜
実は台湾独立運動の聖地? 独立運動家が設立した「新珍味」の数奇な歴史

さてここからは、今日ご紹介した「新珍味」の、少し変わった設立背景についてご紹介したいと思います。
新珍味のオープンは1954年。当時、池袋はまだ戦後の闇市の雰囲気が残っており、西口のサンシャインシティも巣鴨プリズンと呼ばれていた頃でした。オーナーは台湾出身の史明(1918-2019)という独立運動家で、蒋介石の暗殺に失敗して日本に亡命するという、なかなか曰く付きの経歴を持った人物として知られています。元々早稲田大学を卒業されているそうで、若い頃から日本とは縁があったのでしょうか。
史明氏はその後長く日本で反国民党の独立運動を続けるのですが、台湾の民主化に伴い1993年に帰国。独立運動のアジトとして、お店の2階で爆弾を作っていたとさえ言われる「新珍味」も、普通の町中華として現在に至ります。

開店から70年近くが経ち、闇市時代から池袋の様子を見守ってきた「新珍味」。しかし名物のターローメンは、史明氏のレシピそのままだそうです。100年にわたる生涯を、祖国の独立に捧げた革命家の味。東京の片隅で、料理を食べながら台湾独立への情熱に思いを馳せてみるのも、良いかもしれません。
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