2020.11.08 宇都宮は石の町だった? ロケ地としても使われる栃木県「大谷資料館」の地下神殿っぷりがスゴイ!
栃木県の県都にして、浜松市と熾烈な餃子戦争を繰り広げていることでも有名な、宇都宮市。実は石の名産地、石材の町という側面を持っていることをご存知でしょうか。近年こそコンクリートに押され気味なものの、戦前までは地元名産の「大谷石」が、様々な建材に利用されていました。現在、採掘場の一部が一般公開されていて、イベントやテレビのロケ地などにも使用されています。今回は、宇都宮の町外れにある「大谷資料館」をご紹介します!
宇都宮の郊外にある「大谷資料館」。おトクに行くなら東武宇都宮線がオススメ
まずは本日のスタート地点。北千住駅へ。宇都宮はJRと東武鉄道が通っていますが、今回は東武で。事前に株主優待乗車証を用意しておくとお得です。
まずは南栗橋行きの電車に乗ります。南栗橋という駅名は田園都市線・半蔵門線からの直通列車の終点でもあるため、電光掲示板で見る機会も多いと思います。
終点の南栗橋駅で、東武宇都宮行きの電車に乗り換えます。東武宇都宮線は、2020年6月のダイヤ改正で南栗橋まで乗り入れるようになり、東急田園都市線の中央林間駅から乗り換え1回で行けるようになりました。乗り継ぎも良くなり、使い勝手が大きく向上しています。
終点の東武宇都宮駅に到着。北千住からの所要時間は2時間10分くらいです。JR宇都宮線なら上野–宇都宮間が快速で1時間30分程度のため所要時間では劣りますが、値段の安さが魅力です。
東武宇都宮駅の改札。ビルの3階に電車が乗り入れます。
改札の目の前には東武百貨店が。東武百貨店経由でも良いですが、お店を経由しない出口もあります。外に出てみましょう。
JRと比べると影の薄い東武宇都宮駅ですが、宇都宮最大の繁華街であるオリオン通りに接しているため、繁華街が目的地なら使い勝手は悪くなかったりします。さらに、これから向かう大谷資料館も、東武宇都宮の方が近いです。
駅を出たら、まずは大谷観光一日乗車券を入手します。JR宇都宮駅で売っていますが、東武宇都宮駅の近くにあるホテル「宇都宮東武ホテルグランデ」でも手に入れることができます。写真の中央に写っている建物です。
「大谷観光一日乗車券」は、JR宇都宮駅から東武宇都宮駅経由、大谷資料館までの往復きっぷと、資料館と大谷寺 の入場券がセットになったきっぷです。往復の途中下車もできますので、JRと東武の駅の行き来としても使えます。入手したら、写真のバス停から出発です。
大谷資料館経由・立岩行きのバスに乗ること30分。岩肌が目立ってきたあたりでバスを降りて、徒歩3分。大谷資料館の入り口に到着しました。
元・採石場であるということが一眼で分かる人工的な岩肌が目につきます。
こういう景色を見ると、「何故石がくり抜かれているのだろう?」という気になってきます。もちろん理由はあるのでしょうが。
採石坑の跡を利用した休憩所も。
最近はメディアへの露出も増えてきているためか、今風のお土産屋もあります。
大谷資料館は地下の採石場がメインのため、地上の建物はシンプルな作りです。土曜のためか来場者はそれなり、といったところ。
地下を見学する前に、まずは資料室へ。大谷石の特徴、採石場の歴史などが簡単にまとめられています。
大谷石は多孔質の石材のため軽く、加工のしやすさが好まれたのだとか。最近では自由に成形できるコンクリートの方が主流ですが、耐火性にも優れているため、かつては写真のような蔵や倉庫によく使われたそうです。
地上の資料室を見終わったら、地下に進みます。通路は整備されていますがやや狭いため、入り口付近の階段での撮影は渋滞の元になるので禁止。階段は立ち止まらずに降りましょう。
気分は地下神殿? イベント会場、作品展示場、ロケ地などでも活躍する採石場跡
ここからは、地下の様子をご紹介します。こじんまりとした地上部と比べて、地下は天井の高い空間が広がっています。
手彫り時代を再現した人形も。機械化されたのは1960年頃からだそうです。
場所によっては、上方面に掘った跡も。四角い穴の開いた天井は、謎めいた感じがしますね。
入り口こそ狭いものの、地下空間はなかなかの広さ。年間を通して冷涼な特徴を活かし、保管庫としても長く使われているそうです。
ワインとか長期保存するのも向いてそうですね。
また、アートスペースとしての側面もあり、いくつかの作品が展示されています。写真は仮屋崎省吾先生の作。
それらを彩るライティングも秀逸です。人影って、ミステリアスな感じがしますね。
壁に刻まれた跡は機械掘りによる切り出し跡なのですが、光に照らされると何だか古代の壁画を見ている気分になります。
資料館側もそれは意識しているらしく、「古代神殿っぽい」オブジェも見受けられます。
そのほかにも、場内にはステージらしきものも。ここでライブをしたら、音が良く響きそうです。
ライティングの良さもさることながら作品のクオリティも良いので、写真に自信のある方はいろいろな撮り方にチャレンジするのもオススメです。
シャッタースピード次第では、こんな写真も撮れます。
採石場跡は、そこそこの広さですが1時間あればじっくり楽しめると思います。思い思いの写真が撮れたら地上へ。
資料館を出たら、続いて近くにある大谷寺に向かいます。
大谷寺は9世紀頃の創建と伝えられる栃木県でも有数の寺院で、坂東三十三箇所の札所にも選ばれています。一見すると普通のお堂に見えますが・・・。
カットを変えるとご覧の通り。お堂が岩にめり込んでいます。実はご本尊が岩に刻まれた石窟寺院で、「大谷磨崖仏」として国の重要文化財に指定されています。要するに、バーミヤンの石仏のような文化財、というわけです。入場券は「大谷観光一日乗車券」にセットで付いてくるので、忘れずに寄っていきましょう。
そろそろ次の目的地に行くため、帰りのバスに乗ります。
帰りはJR宇都宮駅まで。東武宇都宮駅からJR宇都宮駅は徒歩20分ほどですが、大谷資料館に寄ると移動の手間が省けるのでいいですね。
この後は、電車に乗って那須塩原へ。翌日は那須高原をドライブしましたがそちらはまた次の機会に。お疲れ様でした〜。
今回は餃子の町・宇都宮の隠れた名所「大谷資料館」をご紹介しました。大谷石に関する文化財は2018年に日本遺産に登録され、最近ではLRTの建設などもあって話題の多い、宇都宮市。東武宇都宮線の使い勝手がよくなった今では、安く気軽に訪れることができます。東京から日帰りも十分可能ですので、1日予定が空いたときは、宇都宮まで小旅行に出かけてみてはいかがでしょうか。