2019.12.12 北海道2,000kmの旅(7) -半島丸ごと世界遺産。遊覧船で巡る知床の大自然-
秩父夜祭を紹介するために一旦中断した本シリーズ。今回から再び再開します。道東をさらに東に向かい、世界自然遺産・知床半島へ。遊覧船の様子もあわせてお送りします!
第1回 新千歳から稚内までのドライブの様子はこちら
第2回 稚内駅の様子はこちら
第3回 宗谷岬の様子はこちら
第4回 宗谷丘陵と紋別市内までのドライブ
第5回 紋別市内で見る北海道遺産・ガリンコ号
第6回 最果ての牢獄・網走監獄に見る北海道レトロ
網走から知床までのドライブ。道中にはJRの駅も
朝6:40。一晩過ごした網走のホテルを後に、東へ向かいます。今日は知床を経由して釧路まで向かう予定のため、早めの出発です。
毎度お馴染みの道東の風景。都会のゴミゴミに慣れた身としては、とても新鮮です。何もないって素晴らしい。
運転に疲れたら、少し車を止めて休憩してもいいですね。
途中JRの駅を見かけたので寄り道。「えきばしゃ」の文字がそこはかとなく西部感を漂わせます。
釧網本線の止別(やむべつ)駅というそうです。地図を確認すると網走からずっと並走していたようですが、気づかなかったですね。
建物は古めですが、手入れは相応に行き届いています。定期的に掃除している方がいらっしゃるのですね。待合室に置かれたストーブが雰囲気出ています。
釧網本線の路線図。運賃の上がり方が駅の少なさを感じさせます。網走と釧路を南北に結ぶ重要な路線ながら…
時刻表はご覧の通り。1日7本の運行という閑散路線でもあります。最近は経営が苦しいと話題のJR北海道ですが、釧網本線がなくなると鉄道一周ができなくなりますので、ぜひ持ちこたえてほしいところです。
時間に余裕があるわけでもないので、何枚か写真を撮って次の目的地へ。網走から知床斜里までのオホーツク沿岸には他にも浜小清水、藻琴などの駅があります。ドライブがてら立ち寄ってもいいかもしれません。
自動車乗り入れ禁止の知床半島。遊覧船で先端部の知床岬へ
網走から車を走らせること約70km。知床の玄関口「オシンコシンの滝」に到着しました。
見た目は普通の滝ですがかなりの水量があります。ここの他にも知床には多くの滝があり、水が豊富にあることを伺わせます。
オシンコシンの滝から一本トンネルを抜けると、知床観光の拠点・知床ネイチャーセンターに到着します。
案内所と展示室も兼ねており、知床の自然や世界遺産になった経緯などが紹介されています。
遊覧船に乗るため、もう少し先に進みます。遊覧船を運航している業者は複数あり、基本は要予約です。今回乗ったのは7000円のコースでした。昼食(鮭イクラ丼)付きですが場所柄もあって割高です。
遊覧船乗り場の様子。岩の雰囲気などが最果て感を醸し出しています。余分なものがない絵面はシュルレアリスムの絵画のようです。
緊急用のライフジャケットを着て、いざ知床岬へ。
片側には、知床半島の荒々しい景色。
そしてもう片方には、ひたすら平坦なオホーツク海が広がっています。何もない風景は一種の美しさがありますね。
知床半島は、自然保護のため車両の乗り入れが禁止され、徒歩での立ち入りも制限されていますのですが、写真のような建物も時折見かけます。漁業関係者や作業員のための避難所などがあるそうです。
道路も舗装されていないため、小さな滝も多くあります。どれも勢いがありますね。
乗船中、ガイドさんの紹介する方向に目を向けると、遠くに黒い影が。野生のヒグマです。知床は、道内でもクマが多く生息する地域と言われています。遠くで見る分には和みますが、お近づきにはなりたくないですね。
その他、知床半島には様々な形状の岩があります。なんとなく人の顔に見えるような奇妙なものも。
「おめーらここに入ってくるなよ」と言われてそうです。
ここからは、道中で撮った写真を何枚かご紹介します。
傾斜が急なところが多いですが、海岸部には平坦なところもあります。瀬戸内海あたりの景色とはまた違いますね。
そうこうしているうちに、船は半島の先端に。平たい草原が異国感を煽ります。
知床岬の全景。車はもちろん歩行者も立ち入りが制限されている一帯ですが、灯台が一つあります。ここまで徒歩で来るツアーもあるのだとか。
団体で来るなら大丈夫そうですが、徒歩の時はなるべくクマに遭遇しないことを祈りたいものです。この辺で船は来た道を引き返し、元の港へ。
港の近くには通称「ゴジラ岩」と呼ばれる奇岩があります。自然石の中ではかなり似ている方だと思いますがいかがでしょうか? ここからは船を降りて、知床五湖へ。
遊歩道から広がる世界遺産の景色。知床五湖を歩く
世界遺産の地・知床半島は相応の面積があり、本格的な装備が必要な場所もあります。その中で手軽に見られるのが2つ。遊覧船と、もう1つはこれからご紹介する遊歩道です。知床ネイチャーセンターの横から入れます。
「知床五湖公園」と名前がついています。文字通り5つの湖がありますが、木造の遊歩道が整備されているのは一番近い湖周辺になります。他の4つは地上遊歩道でのアクセスです。
公園内は、藪の上に木造の歩道を渡している構造で、地上と分離されています。環境保護というよりは来訪者がクマと遭遇しないための配慮のような気がします。地上遊歩道もありますが、クマの出没が確認された時は閉鎖となります。
晴れている日は、写真のような絶景を望めます。
雲と藪の色彩がいい感じです。
晴れている日は、近くに知床連山を望むことができますが、今回は雲に隠れていました。残念。
そして到着しました。知床五湖。看板で猛アピール。
ネイチャーセンターから木造遊歩道で行ける湖です。他の湖は地上遊歩道のそばにありますので、時間に余裕がなければここでUターン。
今回はもう一箇所寄りたい場所があるので、引き返すことにしました。
出発前に、ネイチャーセンターの展示も少し見ておきます。
館内には剥製なども。このクマは観光客がソーセージを与えたところ人里に出没するようになり、最後には射殺されてしまったそうです。クマは賢いので、餌付けされると町に降りてくるようになって危険なのだとか。
ここからは車で東に進み、羅臼町へ。途中、知床峠を超えます。
眼下には美しい景色が。知床に限らず、峠超えは視界が開けることが多いですね。
そして、視線を上に向けると知床の荒々しい山が。標高はそれほど高くないですが雲がかかっています。
知床と羅臼は直線距離では十数キロメートルですが、険しい峠のため昭和の50年代中頃まで行き来が不便だったそうです。今走っている道路も工事に18年を要したそうで、知床の気候の厳しさが窺い知れます。工事に携わった先人たちに感謝しつつ、次の目的地へ。
駆け足ながら、今回は世界遺産・知床の様子をお送りしました。次回はいよいよ今回最大の見せ場、野付半島をご紹介します。圧倒的な終末感が漂う野付半島のトドワラ、ぜひお楽しみに。