2019.11.08 北海道2,000kmの旅(3) -岬と草原と巨大建造物。最北の町・稚内を彩る景色たち-
前回は、最北の駅・稚内駅をご紹介しました。今回は、「岬と草原と巨大建造物」と題して、本州ではなかなかお目にかかれなさそうな、最北の町の風景をお送りします!
見た目は古代ローマのよう? 稚内北防波堤
稚内駅から北に進むと、写真のような分かれ道に出ます。左に行くと、稚内のもう一つの最果て、ノシャップ岬に。そして右に見えるのが、ご紹介する「北防波堤ドーム」です。
北防波堤ドームは、もともと稚内港までの線路を建設する際に、海からの波を防ぐために建設されました。そのため、鉄道が通れる幅が確保され、作りも豪華になっています。
今でこそ盲腸線となっている宗谷本線ですが、戦前はサハリンへの連絡船をつなぐ役割もあった重要な幹線で、なかなか賑わったようです。今と比べると隔世の感がありますね。
防波堤内は自由に歩けるようになっていて、建設のいきさつや稚内港の歴史を説明したパネル展示もあります。
そして、横から見た防波堤の景観が、これまた素晴らしいです。アーチ型の重厚な作りが、何となく古代ローマを思わせます(個人の感想です)。駅から徒歩圏内にありますので、稚内に着いたら一度は足を運んでみたい施設です。
日本最北の水族館がある、稚内のもう一つの最果て「ノシャップ岬」
ここからは車に乗って、稚内駅から少し北上します。稚内のもう一つの岬「ノシャップ岬」を目指します。
稚内は、日本最北端「宗谷岬」があることで有名ですが、実は岬が二つあります。ノシャップ岬は西側にあり、駅から近い方です。
また、こちらには日本最北の水族館があり、宗谷岬とは別の意味で有名になっています。「ノシャップ寒流水族館」という施設で、オホーツク海の生物などを展示しています。
水族館自体は年季の入った、素朴な味わいの建物です。人はまばらですが、手入れは行き届いています。
また、隣には「稚内市青少年科学館」も併設されており、こちらは北極・南極などの極地地方を探検した方の資料などが展示されています。「偉大なる冒険野郎白瀬中尉」の文章は最果ての地・稚内らしさを感じる名文で、ぜひ見ておきたいですね。その他の展示も他では見られないものが揃っています。
ここでしか見られない眺めとモニュメント。稚内公園
再び市街地に戻り、稚内公園に向かいます。駅の西側にある、市内を見下ろせる高台です。青い空に映える「開基百年記念塔」の赤が、見る人に強いコントラストを印象づけます。
展望台の下は北方史料館と呼ばれる博物館になっていて、宗谷アイヌの暮らしや江戸時代に稚内で越冬した方の記録などがあります。写真は冬に使用された寝床の復元です。寒気が入ってこないように最大限の対策をしていることが伺えます。
また、展望台からは市内の様子を一望することができます。稚内港と宗谷丘陵を一度に眺める大パノラマ。間違いなく、ここでしか見られない景色です。
公園内は本州のように草木が生い茂らず、総じて視界が広いのが特徴です。
他の地域では宅地化されてそうな丘陵が原野のまま残されていて、新鮮な気分です。
また、戦後サハリンからの引き上げ先だったためか、慰霊碑も立てられています。
こちらは小説「氷雪の門」で有名になった、サハリンで最後まで放送を続けた女性たちを偲ぶ碑ですね。このように稚内公園には、本州とは毛色が違うモニュメントがいくつかあります。
一通り公園内を見たあとは、車で東の方へ。いよいよ日本最北端、宗谷岬へと向かいます。
最北の地・宗谷岬と絶景の宗谷丘陵
北方領土を除いた、日本最北端として知られる宗谷岬は、稚内駅から約30kmほどの場所にあります。バスもありますが本数が少ないため、レンタカーでの移動がオススメです。市内から途中・稚内空港の横を通って向かいます。
宗谷岬のモニュメント。観光用の写真などでもよく見る有名な場所ですね。
実はこの岬、すぐ後ろが高台になっていて、美しい宗谷丘陵が広がっています。付近にある施設には、どれも「日本最北の〜」という枕詞が付きます。
今回はそのうちの一軒、日本最北のラーメン屋を紹介しましょう。「間宮堂」というお店です。名前にも最果て感がありますね。
こちらで食べられるのは、海の幸を活かしたホタテラーメン。立地もさることながら、味の上でもなかなかの有名店です。ちなみに店内にはたくさんのサインがあります。皆さんここを目指して来られるのですね。
そして、丘陵地帯にはたくさんのモニュメントが。まずは上の写真。翼を広げたような作りです。大韓航空機事故の遺族会の方が作られたそうです。
横から見た写真。先端が折り鶴みたいになっています。
距離を指し示す標識も、空の青と草の緑によくマッチしていますね。
宗谷丘陵は広々とした草地のため、夏ならアートとも相性が良さそうですね。そのうち芸術祭とか企画されそうな気もします。
ちなみにエゾシカも多数生息していて、そこら辺を歩き回っているのを見ることができます。逆にクマはほとんどいないらしいです。
丘陵から岬側を見た一枚。
丘陵地帯は広く、これから向かうオホーツク側の道にも広がっています。ドライブしつつ、次の目的地・紋別へ。
次回は宗谷岬から紋別に向かう途中の景色をお送りします。北海道ならではの絶景が広がっているので、ご期待ください!
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