2019.09.26 北海道2,000kmの旅(1) -新千歳から日本海オロロンライン、そして稚内へ-
突然ですが皆さま、北海道といえばどのようなスポットを思い浮かべるでしょうか。札幌の時計台、函館五稜郭、富良野のラベンダー畑、旭山動物園、などなど。しかし、それら観光地の多くは、北海道の南西部に集中しています。言葉を換えれば、広告で目にする景色は北海道のごく一部、ともいえます。
そこで今回は、北海道の東半分をドライブした様子を、数回に分けてご紹介します。総移動距離2,000kmにも及んだ今回の旅。果たしてどのような景色が見られるのでしょうか。
はじめに:北海道での移動手段について
北海道は、本島だけで岩手県の5倍、東京都の35倍の面積がある、非常に広い地域です。鉄道も一通りの地域を結んではいるのですが本数は少なく、オホーツク海沿岸では鉄道自体がない地域もありますので、今回は車で移動しました。
ここで注意したいのは、何と言っても移動距離の長さ。今回紹介する新千歳-稚内間は370kmもあり、東京-名古屋の移動距離に匹敵します。また、高速がない地域が多いため、時間に余裕を持って休み休み移動したいですね。それでは出発します!
記念切符の販売も。かつての一大ターミナル駅だった留萌駅
早速飛行機に乗って新千歳空港へ。空港からレンタカー屋までは送迎があります。車を借りて、道央自動車道で北上します。
道央自動車道は車線が広く、整備も行き届いていて走りやすいです。PA、SAもそれなりにあり、今回は砂川SAで休憩しました。何気に日本最北のSAだったりします。
SA内には売店の他、ハイウェイオアシスとして野外休憩所も設けられています。一休みしたら、この先の深川JCTから深川留萌自動車道に入り、留萌へ。
留萌駅に到着しました。新千歳空港からの所要時間は、途中休憩も込みで3時間程度。地図だと近そうに見えますが180kmくらい走っています。東京-静岡間くらいの距離です。
留萌駅は、かつて国鉄羽幌線や天塩炭鉱鉄道線、留萌鉄道臨港線が乗り入れていたターミナル駅だったのですが、現在は深川駅から留萌本線のみが乗り入れています。2019年現在は終着駅ですが、2016年12月までは増毛駅まで線路がありました。どことなく昭和の雰囲気が残る外観です。
駅舎内のようす。訪れたのが2016年9月のため、2016年12月で廃線となる増毛駅までの硬券入場券セットが売られていました。買いに来る方もそれなりにいらっしゃるようです。
後3か月で廃線となるためか、留萌から先の駅の簡単な説明も。終点の増毛駅は「縁起の良い駅名」として紹介されています。当たり障りのない言い回しが素敵です。ちなみに、地域は違いますが「半家駅」もあるようですね。平家の落人の里だそうです。
駅前のようす。道が広く取られた平面的な街づくりに、本州とは異なる雰囲気が伝わってきます。ここから日本海オロロンラインを通って、稚内を目指します。
沿道は、ご覧の通り絶好のドライブルート。左に日本海を望む海岸線が約100km続きます。思わず飛ばしたくなりますが、スピードの出しすぎには要注意。北海道の道路はパトカーが走っていることも多いので、60kmの制限速度は必ず守りたいですね。
北海道は北前船文化圏だった? 江戸時代から続くニシン漁の名残
留萌から30分ほど走り、「道の駅 おびら鰊番屋」に到着。重要文化財 旧花田家番屋の近くに作られた施設です。
海沿いには、写真のような洒落たモニュメントも。
とにかく日本海がきれいですね。
付近には「にしん街道」と書かれた柱も。留萌から稚内までの沿岸一帯でニシン漁が行われていたことを物語ります。
道の駅の外観。物販のほかに、北海道のニシン漁に関する歴史を展示しています。現代ではなじみの薄い北海道のニシン漁ですが歴史は古く、江戸時代には北海道の日本海側で行われていたそうです。はじめは松前の辺りで始まった漁も、18世紀末には道北で行われるようになり、沿岸一帯には「番屋」と呼ばれる建物が建てられるようになりました。道北に江戸時代から和人が住んでいたという衝撃の事実にも、驚きが隠せません。
説明によると漁師たちは「ヤン衆」と呼ばれ、漁は明治にかけて最盛期を迎えたそうです。施設内にも大漁旗が飾られていました。
そして、道の駅の隣にあるのが重要文化財である、旧花田家番屋。立派な建物で、相当な財力を持っていたことを窺わせます。
建物は丁寧に手入れがなされており、ニシン漁に関する説明も見ることができます。
また、板敷きの建物の一角には畳があり、客間として使われていたそうです。置かれている食器は輪島塗と九谷焼で、北前船がここまで来ていたという事を表しています。先ほどから驚きの連続ですね。
道北と北前船。一見接点のなさそうな2つの点が、線でつながった瞬間でした。日も傾いてきたので、再び北を目指します。
続いて寄ったのは、道の駅「ロマン街道しょさんべつ」。オロロンラインの沿道にはPA・SAの代わりに、利用しやすい道の駅があります。
敷地内には温泉もあり、くつろげるのですが……
先ほどの鰊番屋と同じく、日本海の眺めが目を引きます。
特に、高台から見る沿岸の景色は素晴らしいの一言。周囲ではキャンプもできます。
天文台もあります。星がきれいなのは間違いないので、キャンプするなら見ておきたいですね。
日本海を照らす西日。朝は雲が多かったのですが、ご覧のような快晴に。
また、沿岸からは利尻富士を眺めることができます。離れていますが、よくよく見ると中央に山のようなものが。
この後はさらに北上してサロベツ原野を見る予定だったのですが、残念ながら日が落ちてしまったのでまたの機会にしました。運転距離が長い分、時間配分が難しいのが悩み所です。
途中寄り道もしつつ新千歳から9時間、ようやく稚内へ到着です。まっすぐ来ると6時間くらいなので、観光よりもドライブが中心の一日となりました。今回はサロベツ原野に寄る時間がなかったので、じっくり見たい方は途中で一泊する手もありそうです。
ちなみに上の標識、さりげなくロシア語が併記されていたりします。帰って写真を見返してから気づきました。ある意味最北の町・稚内らしい光景ですね。
今回は「北海道2000kmの旅」の第1回として、新千歳から稚内までの様子をお送りしました。次回は日本最北の駅・稚内駅をご紹介します!
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