2019.12.02 鑑賞のカギは防寒対策? 都心からワンコインで行ける「秩父夜祭」は冬花火の名所だった
東京近郊のイメージが強い埼玉県の中でも、別扱いをされることが多い、秩父市。西武線の沿線でも、飯能から先は馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、12月は秩父が最も燃え上がる時期です。今回は秩父最大、いや、埼玉最大のイベントと言っても過言ではない「秩父夜祭」の魅力を、冬花火という視点から、ご紹介します。
混雑することが多い、東京近郊の花火。ハイレベルな花火をゆっくり鑑賞したい方は、今回の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。
池袋から2時間? 都心から秩父までのアクセス手段
まず本題に入る前に、秩父の立地について説明します。埼玉県秩父市は埼玉で最も西に位置する自治体で、奥多摩町の真北に位置します。池袋から西武池袋線・西武秩父線に乗ることで2時間弱で移動でき、事前に金券ショップで西武鉄道の株主優待券を入手すれば片道500円以下で行くことができるという、お財布に優しい場所でもあります。ただし西武秩父線は単線のため、お急ぎの方は特急の利用もおすすめです。2019年からは新型特急「ラビュー」も運行開始したため、この機会に乗るのもいいですね。
それでは、当日の様子を写真で見ていきましょう。
駅舎にかける西武鉄道の気合。リニューアルされた西武秩父駅は祭り一色に
まずは池袋から電車に乗って西武秩父駅へ。途中、飯能駅までは複線で本数も多いのですが、以降は単線となり行き違いも多くなります。写真は東吾野駅の様子。
のんびりと電車が撮れるくらいの余裕がありますが、当然時間はかかります。急行の場合、池袋から飯能までは50分、飯能から西武秩父までは1時間程度です。ただし特急でも1時間30分くらい(最速78分)のため、特急料金を払うかどうかは好みが分かれそうです。
西武秩父駅に到着。2017年に駅舎がリニューアルされ、「祭り感」を大々的にフィーチャーした雰囲気になりました。2017年のグッドデザイン賞も受賞しています。温泉あり土産物ありという、盛り沢山な駅です。
午後3時半ごろですが、駅前には既に多くの方が。「夜祭」とはいうものの、昼間に行われるイベントもあります。ここからは徒歩で町の中心部へ。
12月初頭のため、少しお正月感もありますね。
祭り会場の一つ、秩父市役所に到着。東日本大震災で旧建物が被災したため、2017年に現在の建物が建てられました。かなり立派な建物です。ちなみに市役所前の広場には鳥居もあります。秩父夜祭の主催・秩父神社の御旅所だそうです。
神輿が置かれているのを見ると、祭りも本番だな、という気がします。
花火まで少し時間があるので市内を散策。市街地は、写真のようなレトロな建て付けのお店が多いです。
普段はそれほど混雑していないのですが、祭りの日はどのお店も盛り上がります。
既に街中を運行している屋台も。実は午前中から曳き廻しを行っていたりします。
市街地を通って、秩父鉄道の本拠地、秩父駅に到着しました。熊谷駅から長瀞・秩父経由で三峰口まで運行している私鉄ですね。ただし都心からは、西武鉄道の方が距離・料金面で便利です。
駅前にも、ちらほら屋台の姿が。灯籠が付いてからが本番とはいえ、なかなか絵になる光景ですね。
駅前には屋台や物販も。左側にある「秩父そば・うどん」の文字が気になりますが、今回は他の名物をいただくことに。
秩父のご当地グルメ、わらじかつ弁当。特大のかつが惜しげもなく乗っている人気メニューです。
もう少し時間があったため、一軒寄り道することに。「秩父まつり会館」はよくある地元の祭りを説明する施設ですが、この日は祭りに合わせて開館時間が延長されていました。
祭り当日でも、事前に歴史や由緒を知ることができるのはいいですね。
見終わって外に出ると、辺りは既に夜に。いよいよ秩父夜祭の本番・灯籠屋台と花火です!
屋台曳き回しの方が混む? 意外とのんびり見られる冬花火
秩父夜祭の特徴としてまずあげられるのが、大量の灯籠で飾られた屋台。並べ方も美しく、祭りの主役となる存在です。その影に隠れてさほど知名度が高くありませんが、もう一つの主役となる存在が、今回ご紹介する「冬花火」になります。
最近では冬花火を行う祭りも増えてきましたが、十日町・富士五湖といった、閑散期に人を呼ぶための施策、という側面が強く、夏と比べるとどうしても「オマケ」的な印象があります。しかし、秩父の花火は冬こそが本番。「混んでいないが、クオリティの高い花火」という、東京近郊としては絶好の穴場だったりします。それでは、当日の写真とセットでご紹介してきましょう。
夜の市役所前の様子。広場周辺には高い建物が少ないため、花火を見るなら第1候補に入ります。
夜は祭り仕様にライトアップされる、西武秩父駅。花火は駅前からでも見ることができます。東京を5時〜6時ごろに出発するなら十分アリですね。
市役所から西に降る道では、既に灯籠屋台の運行が始まっていました。大勢の見物客で賑わっています。
夜の秩父屋台は、一段と美しさが引き立ちますね。競合が少ない、オンリーワンな冬祭りという点もポイントです。
祭りらしく、夜店も多く出ています。季節柄か暖かいものが欲しくなります。
そして、花火の打ち上げが始まりました。時間は日によって異なりますが、概ね19時〜22時ごろの間です。ここからは、花火の様子を何枚か写真でご紹介します。
夏よりも、心なしか鮮やかに見える気がします。気温が低い分、冬空の方が空気が澄んでいるらしいです。
今回一番きれいに撮れた写真。
花火を見るなら市役所前がおすすめですが、駅前の広場からでも十分な見栄えです。
たいていの位置では、夜店の後ろで盛大にフィーバーしている様子を見ることができます。なかなか面白い構図ですね。この辺で時間が押していたので、電車に乗ることに。
最後は西武秩父駅のホームから花火を眺めつつ帰還。屋台の方に人が集中するため、じっくりと質の良い花火が見られました。
ポイントは防寒対策と終電? 秩父夜祭の花火を楽しく見るには
今回は埼玉有数の祭り・秩父夜祭の様子を「冬花火」というテーマでご紹介しました。都心から500円以下で行ける超穴場のため皆様にもぜひお勧めしたいのですが、2つほど注意点があります。
寒さ対策
12月初旬は都心ではさほど冷えない時期ですが、秩父は山間部のため夜は意外なほど冷え込みます。花火を見る場合、1〜2時間外の吹きさらしの下に立つことになりますので、都心では暑すぎるくらいの防寒対策でちょうど良さそうです。寒さを解決できれば、澄んだ空気の下、素晴らしい花火が見られます。
帰りの電車
西武秩父から池袋までの所要時間は、約2時間。計算上は22時くらいまで間に合いますが、帰りの電車はなかなか混雑します。特にレッドアロー号・ラビュー号の指定席は早々に満席になりますので、状況次第では、8時半くらいに花火を切り上げる判断も必要かもしれません。交通費を惜しまないなら、早めに帰りの指定席を確保するのも手です。秩父で夜を明かすことのないように、気をつけたいですね。
東京からワンコインで行けて、圧倒的に混まず、空気の綺麗な冬空で楽しめる、秩父夜祭の花火。曜日を問わず、毎年12月2日・3日に行われます。開催日が平日になる年もありますが、気になる方は日程を調整するなどして、秩父まで足を運んでみてはいかがでしょうか。
次回は再び北海道へ。世界遺産の地・知床岬をお送りします!
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