2020.03.28 万博から50年。大阪の美意識が凝縮された記念公園の桜
「人類の進歩と調和」を掲げ、高度成長期真っ只中に行われた、大阪万博。今年で開催50年になります。千里の丘を切り拓いて作られた万博会場ですが、その跡地が日本有数の桜の名所になっているのをご存知でしょうか?
今回は、日本三大桜名所と同じかそれ以上と言ってもいい、万博記念公園の桜をご紹介します!
大阪市街地の北に位置する、万博記念公園
1970年の大阪万博の際に整備された、万博記念公園。場所は大阪駅のほぼ真北で、大阪駅からは大阪メトロ御堂筋線で北大阪急行線千里中央駅にゆき、大阪モノレールに乗るのが一般的なアクセス手段となります。ただし京都方面からは阪急の南茨木駅を使う方法もあり、こちらの方が運賃が安いです。どちらにしろ、モノレールに乗るという点は変わりません。
また、大阪モノレールは西に行くと伊丹空港に接続していますので、飛行機で訪れるのにも向いています。空港から直接訪れて、そのまま京都方面へ、といったルートもお勧めです。それでは早速行ってみましょう。
万博から50年。当時のパビリオンは撤去され、美しい公園へ
まずは大阪モノレールに乗って、万博記念公園駅へ。京都河原町からの運賃は570円、大阪梅田からの運賃は620円になります。今回は阪急で、南茨木駅からモノレールに乗りました。
駅から出てスロープを降ると、高速道路の反対側に太陽の塔が見えます。高速バスで大阪に来る時もこの辺りで一般道に降りるため、その時にも見ることができます。高速の向かい側が万博記念公園です。
そして、高速の手前側には、商業施設「エキスポシティ」があります。この場所には万博開催時に併設された遊園地があり、そちらが2009年に閉鎖されてから同じ場所に開業した施設です。
ちなみにこのエキスポシティ、商業施設ながら万博を意識した意匠がなされており、どことなくレトロフューチャーな感じのするデザインも見所です。未来を疑わなかった、エネルギーに満ちた万博の空気の一端を、感じることができます。
近頃では海遊館が手掛けた新感覚の水族館「ニフレル」でも話題になりました。今でも行列ができるくらいの人気です。今回は、ここで左に曲がります。
高速の下をくぐると、今回ご紹介する桜並木がある「自然文化園」の入り口に着きます。ここからは入場料が必要です。料金は、日本庭園・自然文化園共通で、260円。他の施設を利用するときは追加料金が必要な場合もありますが、桜並木を見るだけなら260円で大丈夫です。詳細は万博記念公園のページへ。
太陽の塔と桜の取り合わせが絶妙。どこを撮ってもハズレのない桜並木
万博記念公園に入るとまず目につくのが「太陽の塔」。言わずと知れた、岡本太郎氏の作です。芝生の仕上がり具合に公園側の気合いを感じます。
ちなみに太陽の塔の裏側には、黒い太陽が描かれています。トリビアとして披露してもいいかもしれません。
園内はすでにご覧の通りの、満開の桜。何より手入れが完璧なのがいいですね。ここからは、大阪の本気を感じる桜並木の写真を、一気にご紹介します。
側面から太陽の塔を撮った一枚。
広々とした園内はピクニックにも向いているらしく、家族連れの方もそれなりに見かけます。
敷地内には屋台や…
ケータリングカーなども出ていますが、いずれも桜の雰囲気を壊さないように配慮されています。じっくり写真を撮るのには最高の環境、と言えそうです。
エキスポシティの観覧車を撮った一枚。新宿御苑辺りと違って高層ビルがなく、背景が気にならないのが良いですね。
そして、広告などにもよく使われる、太陽の塔を撮った一枚。木の配置といい塔の形といい、これ以上のカットは想像できません。枝の剪定とか狙っているんじゃないか? と思えるくらいの構図です。
こちらは旧鉄鋼館の様子。万博終了後、ほとんどのパビリオンは撤去された中残る、数少ない建物です。今は「EXPO’70パビリオン」として、万博時代の資料などを展示しています。
本当にどこを撮ってもハズレのないカットです。桜の時期にはぜひ訪れたいスポットと言えそうです。
実は有名芸術家の作品? 万博時代のオブジェを公園から探してみた
さて、ここまで桜の紹介をしてきたので、ここからは記念公園本来の役割である「万博」にスポットライトを当てたいと思います。
大阪万博は1970年の開催で、当時最高の技術・デザイン・予算が投じられたイベントでした。高度成長期ということもあり、昭和中期のギラギラしたエネルギーのようなものを、今でも園内から感じ取りことができます。写真とセットで、いくつかご紹介しましょう。
まずは先ほどご紹介したEXPO’70パビリオンへ。ル・コルビュジェ的な外観も相まって、桜によく合いますね。
当時の様子を再現した模型。今の様子からは想像できないほど、人工物の塊のような場所でした。終了後の整備に相当な手間がかけられたことが伺えます。
万博開催時は、太陽の塔の周りには屋根がありました。今も屋根の一部が公園内に残されています。
館内にある、スペースシアターの様子。内装は当時のままです。上から吊り下げた球状の音響設備は、今見ても通用するデザインだと思います。このほかにも当時の資料が多数あり、大阪万博がどのようなコンセプトで作られているかを知ることができます。デザインのお手本のような内容なので、興味のある方はぜひ。
続いては、公園内にある池の様子。左側に見えるオブジェはイサム・ノグチ氏の作品で、「宇宙空間の夢」がテーマだそうです。
敷地の北側には、万博当時からある日本庭園も。広い敷地を生かした、なかなかハイレベルな内容です。京都の神社仏閣のような「狭いスペースで魅せる」庭園とは少し趣が違いますが。
もちろん、庭園内でも桜を見ることができます。先程の桜並木と比べて、さほど混まないのがポイントです。
先程EXPO’70パビリオンの紹介で少し触れた、万博当時の屋根の一部です。近づくとその大きさに驚きます。
また、記念公園内は桜以外の植物も多数あり、4月だとチューリップなどを見ることができます。
訪れたのは休日ですが、割と空いていますね。
後ろに観覧車を配した一枚。写真好きな方にとっては色々試せそうです。
最後は太陽の塔の裏側にある、黒い太陽と桜の取り合わせ。この辺で、次の目的地に向かうために公園を後にしました。
訪れるだけで、万博開催時の熱量を受け取れそうな、万博記念公園。イベントも多いので、季節を変えて何度も来たくなる場所です。
万博記念公園の桜並木、いかがだったでしょうか。この公園は大阪のまちづくりとも密接に関わっており、梅田から御堂筋線で来ると、道路や鉄道の配置も含めて、周辺一帯がニュータウンとして計算されて作られていることを実感します。
大阪は一見すると道頓堀などステロタイプな印象が目につきやすいですが、今回ご紹介した万博記念公園や中之島公園、大阪梅田の再開発など、優れたセンスと先進性を持ったプロジェクトも数多くあります。大阪に寄るときは、「普段と違う大阪を探してみよう」という気持ちで見ると、新たな発見があるかもしれません。
次回の大阪万博は、2025年。次はどのような感動が待っているのでしょうか。目が離せません。
大阪最高! 大阪万博! 大阪万歳!!